前記事において場面緘黙についての話をしてきました。
今回はその場面緘黙の人たちのコミュニケーション方法について話をしていきます。
コミュニケーションを図るときのポイント
コミュニケーションの例え話としてことばのキャッチボールという表現をすることが多いです。
投げ手(話す)
受け手(話を聞く)
投げ手が素早いボールを投げてまったり関係のない方向へ投げてしまうと、受け手はボールをキャッチすることが出来ません。
そのため話し手は相手が取りやすいボールを知ることと、キャッチしやすいボールを意識して投げる必要があります。
ではどのようなことばのボールを投げたら良いのかというと口述しますが、
クローズドクエスチョンという質問が答えやすいです。
クローズドクエスチョンとは選択肢を与える質問です。
例えばジュースが好きな子どもに
「何のジュース飲みたい?」と聞くのではなく、「りんごジュースかぶどうジュース どっちがいい?」のように具体的なジュースを示してあげます。
すぐには答えることも難しいので「りんごジュース?」と聞いたときに頷きで答えてもらっても良いです。
行動療法を用いる
場面緘黙を抱える人たちとコミュニケーションを図るために行動療法を用いることが多いです。
行動療法では、クライエントが現在抱えている行動上の問題(たとえば、恐怖症、習癖など)に焦点を当て、それらの問題は、「その場面に対して、何らかの原因で、不適切な反応(感情や行動)を結びつけ、それが習慣化してしまったこと」によるか、「その場面に対して、適切な反応(感情や行動)をまだ習得していないこと」によって起きていると考えます。
一般社団法人 日本臨床心理士会
行動療法と言っても数えきれない技法がありますが、今回はシェイピング法、プロンプト、フェーディングを紹介してきます。
シェイピング法(行動療法)
「話せるようになる」という目的に対してどのように手順を決めていくかがシェイピング法です。「話す」という最終目標を設定しても始めからそこに辿り着けるわけではありません。この言葉は難しく聞こえますが、順序立ててスモールステップで進めていくことと認識してもらえたらと思います。
そしてこのシェイピングという方法はプロンプトとフェーディングという技法を適宜使っていきます。
プロンプト
ある行動を起こさせるために手助けをすること
いわゆるヒントのようなこと
フェーディング
ある行動が増えてきたら手助けを減らすこと
これらは場面緘黙の人だけでなく、様々な場面で広く使われています。
実際に行動療法を使用しながらコミュニケーション方法を身に付ける
行動療法でコミュニケーション方法を身に付けていくために、まずどのような場面で緘黙症状が現れるのか特定する必要があります。
その特定とは①場所の特定、②人の特定です。
特定するためには保護者や学校関係者、直接子どもたちと関わるなどで情報が得られます。
話せる場所を広げる
Aという場所でしか話せない場面では、A以外の場所でも話をする機会を作る。
例)家の中でしか会話が難しい場面では家の前(家の郵便ポスト)で話をしてみる。
話せる人を広げる
a君とならばどこでもお話が出来るのであれば、a君を交えてもう1人の友達も加えて会話をしてみる。
例)最初はa君とお話をして少しずつb君も部屋に入って近づき会話に参加していく。
どちらのパターンも本人にとって不安が強まることが予想されるので、まずは本人がどの場所、人とどの距離感が不安が少ないのか見極めながらゆっくりと進めていくことが大事です。
関わりの工夫
とは言っても始めからスムーズに出来ることは稀かと思います。
そんな時に使える工夫を考えてみました。
場所に対しての工夫
・徐々に近づけていく
話せる場所と話せない場所の中間地点で話してみる。話せる場所の目の前や徒歩1分のところで話してみる等。
・イメージをすること
新たにBという場所で話を想定すると、事前にBという場所を写真や文字などでイメージしてもらいます。
・スケジュール表の活用
実際にスケジュール表などに「この後Bという場所でお話します」など自分自身で文字で書いても良いかもしれません。
人に対して工夫
会話の工夫
→「何がすきなの?」という問いかけより「Aという食べ物とBという食べ物どっちが好き?」等選択肢を与えてあげる問いかけにする。
デジタル機器の活用
→ボイスレコーダーや電話を介して話をしてみる。これはオススメです。
人と話をする時は表情や仕草を無意識のうちに脳が処理しています。この表情や仕草に対して「私が話をするとどのような反応をするのか」不安に思うという人が多いです。
そのため、まずは表情や仕草が見えないレコーダーや電話。そして出来るようになってきたら、Skypeやzoomなどのビデオに切り替えていくなど少しずつ対面に近づけていくと良いのかなと思います。
文字を手掛かりにしてみる
→文字を使ったやりとりも実際には用いられます。文字でならやりとりが出来ることも多いです。
文字でのやりとりが可能になったら、手紙や交換日記のようにあったときにお互いに見せ合うと楽しいコミュニケーションの習慣が出来ます。
必ずしもこれらの手法や工夫が最適な訳ではありませんが、一つの手段として知ってもらえればと思います。
まとめ
一つの手法だけを用いるというよりかは複数の手法や工夫を組み合わせることが多いかと思います。
そのためには、どの場所・人の時に話せなくなってしまうのか見極めて方略を考えていくことが大切なことです。
少しでも場面緘黙の人たちの抱えている悩みを解消出来たらと思います。