言葉を話し始めたと思ったら、「ばなな」を「ば」と話すことを見たり聞いたりしたことはありませんか?
「ばなな」に限らず「てれび」を「て」、「あんぱんまん」を「んぱ」と言うこともあります。
「ちゃんと話せていない?!」と心配になるかもしれませんが、幼児期の言葉の発達では、よくみられることです。
noteでも紹介しています。『「ばなな」が『ば』になる?幼児のことばの発達とそのサイン』
どうして「ばなな」が「ば」になるの?

幼児が言葉を学習するとき、最初から正確に発音する、長い言葉を言えるわけではありません。
言葉を話すには、耳で聞いた音を正しく認識し、それを覚え、自分の口や舌、声で再現することが必要です。
言葉を学習している子どもにとってこれは大変なことです。
そのため、長い言葉や難しい音は、覚えやすく・言いやすい形に“短く”して話すことがあります。
これを「部分的発話」、「ワードパーシャル」と呼ぶことがあります。
たとえば
■「ばなな」の「ば」のように言葉の始め(語頭音)
■「スプーン」を「ぷ」のような言葉の真ん中(語中音)
■「りんご」を「ご」のような言葉の最後「語尾音」
このように部分的に言う場所は異なります。

これらは「まだ言えない」というより、「一生懸命に話そうとしている」ということにもなります。
お家でできる言葉を育む声かけ
このような言葉は発達途上であるため、下記のような日常でできるやり取りを続けてみましょう。
しかし、「ばなな」を「ば」のような言葉が長く続き、語彙力が増えないと言う場合は専門家にご相談するといいかもしれません。
言葉を育むためには特別な教材の使用や練習するというより「日常のやりとりの中でことばを豊かにすること」が1番な近道です。
ここではそのやりとりについて紹介します。
① 正しい言葉を伝える
「ば」と言ったら、「バナナだね」と楽しく伝えましょう。
正しい言い方を押しつけるのではなく、自然に正しい形を“聞かせる”ことが大切です。
言葉を伝えるときは、子どもが対象物(バナナ)を見ている状況で伝えましょう。

② 言いやすい場面でことばを育てる
好きな食べ物、乗り物、おもちゃなど、子どもが関心を持っているものは言葉が出やすいです。
「でんしゃきたね」「りんご、おいしそうだね」など、短いフレーズでたくさん語りかけてあげましょう。

③ 子どもの言いたい気持ちを大事に
たとえ言葉として聞き取れなくても、指さしや表情などから「言いたいこと」が伝わってきたら、その気持ちに応えましょう。
「ば!」と指さしながら言ったら、「あ、ばなな食べたいんだね!」と、子どもの思いを代弁してあげることも共感的なやりとりとして重要です。
ことばの育ちは「気づいて・見守って・楽しむこと」
「まだ全部言えない」ことに目を向けるのではなく、「言おうとしている」「関わろうとしている」ことに気づくことが、子どもにとって安心につながります。
子どもの行動や言葉をよく観察をしながら気持ちを汲み取るように大人が温かく寄り添いながら、毎日の会話を楽しんでいくことが、ことばの力を育てていく土台になります。