こんにちはコトノハ教室です。
お友達とのやりとりや集団生活の中で、子どもがお友達を引っ掻いてしまったり叩いてしまう。ということがあります。
そのようなことがあると双方の子どもに対しても不安な気持ちになってしまいますよね。
この記事を見て少しでも不安な気持ちが解消していただければと思います。
手を出すということは本人にとって辛いこと
「手を出してしまう」これは子どもに限らず誰にでも起きること。
大人でも子育てや仕事でストレスが溜まってしまうと頭に血が昇ってしまいイライラした経験があるかと思います。
例えば
普段は怒らないことばでもストレスが過度に溜まっているときに同じことばを言われるとイライラしてしまう
大人でもこのようなことがあるのに子どもに対しても「イライラして手を出すことを止めなさい」ということは難しいかと思います。
大人でも子どもでも同様のことは起きますが、手を出してしまうということは子どもの方が圧倒的に多いです。
これはなぜかというと
大人は自己消化の手段を知っているから
私たちはストレスを抱えすぎてしまった時は、好きなご飯を食べたり、買い物へ行ったり、映画を観たりリフレッシュすることが出来ます。
しかし、子どもはどうでしょうか。自分だけの力で好きなご飯を食べる等大人と同様なことは出来ません。
子どもは大人よりも制約を受けてしまいます。そのため、子どもの“手が出る”という行動ばかりに注目されていまいます。
“手が出る”という行動ばかりに目が捉われがちですが、実際には子どもからのSOSの発信かもしれません。

そもそも行動には4つの理由がある
要求
注目
逃避
感覚
要求
→好きなおもちゃを貸して欲しい。お菓子を買って欲しい。テレビを観せて欲しい。
注目
→自分に注目してほしい。自分とだけお話しをして欲しい。自分とだけ関わってほしい。
逃避
→うるさい場所から移動したい、人混みから移動したい、勉強など嫌なことから逃げたい
感覚(好きな感覚を得たい)
→マッサージして筋肉をほぐしたい、貧乏ゆすりをしたい
手を出す”行動の目的には2つの要因
個人要因
環境要因
個人要因
本人の体調、ことばを伝える力、こだわり等の特性、感覚過敏、自立力(自分で〜出来る(料理、買い物など))など
本人の体調
→ゆっくり休みたいのに話しかけられると休めないため怒ってしまう。お腹が空いたため、水や食べ物を欲する
ことばを伝える力
→使いたい玩具があるけど、「貸して」「どうぞ」のやりとりができない
こだわり
→自分のこだわりが成立しないとき
感覚過敏
→小さな音や光でも敏感に感じてしまう
自立力
→生活する上で自分で行える能力。(食べる力や着脱する力が弱いと苛立ってしまう
環境要因
天気、周囲の環境、周囲の人
天気
→天気が雨の日など天候が悪いと気分が沈む
周囲の環境
→賑やかだったり、人ごみな環境が苦手
周囲の人
→子どもに対して理解がある人、男性または女性
個人要因だけ手が出てしまうこともあるし、環境要因だけでもあります。
または双方が混ぜ合わされることによって行動として現れることもあります。
例えば10で行動が出てしまうとすると
個人要因10や環境要因10。または個人要因(3)+環境要因(7)。個(7)+環(3)などのパターンが考えられます。
手が出てしまったらどうする?
そもそもそのような行動には原因があります。
まずは原因は見つけることから
そのためには応用行動分析(ABA)が使われます。
応用行動分析を用いて原因がわかったら、対応を考えていきます。
そして手が出てしまう流れには信号を例えます。
青信号→落ちつている。
黄信号→苛立ちがある
赤信号→行動として“手が出てしまっている”
青信号
ストレス的な負担がなく、落ち着いている状態です。
黄色信号
なんらかの要因(個人要因、環境要因)によって精神面に負担がかかっている状態です。
もしこの段階に気がつけるのであれば、早期に刺激を与える(ご飯をあげるなど)ことや刺激を少なくする(静かな環境に移動する)ことが大切です。そうすることによって“手を出す”という行動を無くすことが出来ます。
赤信号
黄色信号の状態で負担がかかりすぎてしまうと、パンクしていまい“手が出る”という行動を起こしてしまいます。
もし、このような状態になったら、本人や他者が怪我しないような安全作りに努めます。
赤信号の状態で大人や支援者側が「やめなさい」と注意しても逆効果となる可能性があります。
例えば
【うるさい】という環境に対してパンクしてしまったとします。【うるさい】というストレスを抱えている中で、「やめなさい」と注意してしまったらその注意することばすら煩わしく感じさらにストレスがかかります。
赤信号の状態になったら、本人が落ち着くまで安全な環境を作りましょう。安全な場所というのは刺激がない場所のことです。出来るだけ静かなところで大人からの誘い掛けもしません。常に赤信号ということはないので、段々と赤信号→黄信号に変わっていきます。黄色信号になったら少ない刺激で声かけや別の取り組みをしても良いかと思います。※関わり方によっては黄信号→赤信号→黄信号→〃の繰り返しとなってしまうため、黄信号になった時の関わりには試行錯誤が必要です。
スキルの獲得
手を出さなくても良いようにスキルを獲得していきましょう。
例えば
欲しいものがあって“手を出す”という行動が出てしまうのであれば、「貸して」のことばを覚えたり、絵カードを渡して表現するなどのスキルの練習をしましょう。
賑やかな場所が嫌な場合は、自分で静かな場所に移動することや「部屋から出たい」などの表現(ことばやカード)を発信するスキルも必要になるかもしれません。
そして自分でストレスを感じてしまった時に「美味しいものを食べる」「外に行く」などリフレッシュできる方法も探していきましょう。
一見するとことばの面が影響されているように思われがちですが、個人要因にあるようにことば以外の部分(感覚過敏やこだわり等の特性)も考えていく必要があります。
まとめ
手が出てしまうことには必ず原因があります。
子どもたちはまず手を出すこと=悪いと
知らないということも原因の一つです。
まずはなぜそのような行動をしてしまったのか考えること。
次にそのような行動が出ないように事前に対応したりスキルを獲得していきましょう。
「叩かれたらどう?」「痛いね」などと
見えない相手の気持ちをことばで伝えていくことも大切です。
そしてもし手が出てしまった時は子どもに合わせて自己消化できる方法を見けると良いかと思います。