ダイナミックアセスメントとは?!知能検査との違いについて

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ダイナミックアセスメント(Dynamic Assessment)とは、子どもの学習や発達の特性を把握するための評価方法のひとつです。

日本語では「動的アセスメント」とも言われることがあるそうです。

このダイナミックアセスメントである「動的アセスメント」の対となるものに「静的アセスメント」よ呼ばれるものもあります。との大きな違いは、「ただできる・できないを調べる」のではなく、「どうすればできるようになるか」を探る点です。この部分については下記でも触れます。

子どもの今の力だけではなく、少し助けを受けることでどのくらい伸びる可能性があるかを評価します。

ダイナミックアセスメントは、特定の困りのある子どもに対してどのような方法で指導を進めていくかを考えながら進めていくものとなります。

静的アセスメントとの違い

発達検査、知能検査と呼ばれるものや学校などで行われる学力テストは「静的アセスメント」と呼ばれます。

これは、決められた問題に対して「何点取れたか」「どのくらいできたか」を測定していくものであり、ダイナミックアセスメントは、検査者がヒントを出したり、やり方を一緒に考えながら、子どもの反応や変化を評価するという方法です。

できる・できないだけでなく、どのようなサポートがあれば課題に取り組めるかがわかります。

静的アセスメントは「今の力」を測るのに向いており、ダイナミックアセスメントは「どのような手立てが必要か」「効果的な支援方法」を探るのに適しているのではないでしょうか。

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具体的な進め方

ダイナミックアセスメントには、事前評価→介入→事後評価の流れで進められます。

①事前評価
これは静的アセスメントのように評価者からの介入はせずに決められた課題を行っていきます。

②介入
事前評価で得られた回答に対して評価者がヒントを出したり、一緒に考える時間を設けて最適解を探っていきます。このときは「答えを伝える」のではなく、課題のポイントや考え方、解き方を伝えるようにします。

③ 事後評価
事前評価で実施した同じ課題行っていきます。介入で評価者と一緒に考えた結果、それで学習として結びついたかを確認していきます。もしこの段階で事前評価と同じ結果であれば介入方法を再度考案する必要があります。

ダイナミックアセスメントはこのような流れを通して、どのようなヒントがあると学習しやすいか、どのように理解を深めるのかを観察・評価します。

ダイナミックアセスメントでわかること

ダイナミックアセスメントを行うと支援の道筋がわかってきます。

例えば、1人では解くことが苦手でも、あるヒントがあれば解くことができる。

ヒントの種類に対しても、視覚的が聴覚的か。それとも具体物を操作しながら進めるか、時間を長く設けるのかなど。

様々な手立てをアセスメント内で見つけることができます。

これにより、その子に合った具体的な支援方法を考えるヒントになります。

どんな場面で使われる?

ダイナミックアセスメントは、知能検査や発達検査のような静的アセスメントが苦手な子どもにも適しています。

他にもアセスメントはたくさん行うけど、その結果を上手に整理できない。という場面や学習の進め方がわからないという時にも用いられることもあります。

※しかしダイナミックアセスメントは1人の評価者が評価をすること、その場でヒントを考える必要があり、評価者の知識・技術に大幅には左右する可能性があります。

ダイナミックアセスメントの例

言語発達がゆっくりな子どもで考えてみます。

①事前評価:バナナの絵カードを見てその名前を答えてもらう。→結果:答えず。
②介入  :バナナの復唱を促す→結果:答えず。 バナナの「バ」のみを促す→結果:「ば」
③事後評価:バナナの絵カードを見てその名前を答えてもらう。→結果:「ば」

このダイナミックアセスメントから考えると、「バナナ」の3音の言葉を全て言う指導ではなく、始めの音を言う練習から始めると、目標となる言葉に近しい音を発することができる。と分析することができます。

ダイナミックアセスメントの考え方

ダイナミックアセスメントの考え方の背景には、ロシアの心理学者ヴィゴツキーの「発達の最近接領域(以下.ZPD)」という概念があります。

ZPDとは、「自分一人ではまだできないけれど、大人や周りの助けを借りればできるようになる範囲」のことです。

ダイナミックアセスメントは、まさにこのZPDを探るための方法と言えます。

単なる「できる・できない」の線引きではなく、「どのくらいの助けで、どの程度までできるか」を見極めることで、子どもの可能性や適切な支援方法を明らかにするのです。

まとめ

ダイナミックアセスメントは、子どもの学びの過程や伸びしろを知るための「対話型」の評価方法です。

結果だけでなく、どのように学ぶのか、どんなサポートが効果的なのかを探ることができ、特に発達支援や特別支援教育の場で重要視されています。

ダイナミックアセスメントという名前を知らなくとも、このような流れ普段の支援を進めている先生も多いのではないでしょうか。

このアセスメント方法が必ずしも良いという訳でもなく、知能検査や発達検査のような静的アセスメントもとても重要性が高いです。

そのため子どもたちに適切アセスメントやアプローチを考えながら支援・指導を進めていきましょう。

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