言葉を伸ばす絵カードマッチング

マッチングは物を合わせるという意味で様々な場面で用いられています。

私たちが普段生活している時は特に意識したことはないかもしれませんが、発達過程においてマッチングは必要不可欠なものです。

マッチングはことばを促す学習として使う事も多いです。。

例えば同じカードのマッチング、果物・乗り物カードのカテゴリーを分けたマッチング。

マッチングの活動は多数ありこれらを全て挙げることは出来ませんが、度々使われるマッチングの活動についてお話します。

マッチングで何が身につく?

マッチングってなぜやるの?

マッチングは合わせるという表現をすることも出来ます。

マッチングでは同じもの合わせるという課題を多々取り入れられていますが、同じものを合わせるには双方とも同じであるという視覚的情報を読み取る能力が必要です。

それだけでなくものには名前があり、更にそれぞれのことばはものの関係性に当てはまることもあります。

ものの関係性

スプーンと食べ物は食事の関係性がある。
鉛筆と紙は勉強の関係性がある。
※鉛筆と食べ物は関係性がない。

ものには必ず結びつくものが必ずあります。同じものなのか色なのか大きさなのか、形なのかカテゴリー等のように属性に関すること。

さらに踏み込むと、ものには名前があるということは当たり前ですが、動物の犬を見て「いぬ」と音としてイメージすることもマッチングと言えます(実物と音声のマッチング

上記に加え、音声や文字は記号と呼ばれることもあり、記号はその場にないものを表現することが出来ます(「いぬ」と聞いたら動物の犬をイメージできるように)。

この犬のような実物や絵音声や文字である記号とを結び付けるということがマッチング活動の最大の目的となります。
0歳〜3歳までのことばの発達は「ことばの育み【0歳・1歳・2歳・3歳】」で詳細を解説しています。

マッチングの目的

視覚情報を読み取る能力を身につける
もの(事物)と記号を結び付けるためにマッチング活動を行う

どのようなマッチングがある?

マッチングを行った方法として実物や絵を使用したものがあり、乳幼児期の園やことばの教室で度々使用される形かと思います。
(ものと記号のマッチングは最後にお伝えします。)

ここでのマッチングの方法として実物と実物絵と絵実物と絵のマッチングがあります。

実物と実物のマッチング
絵と絵のマッチング
実物と絵のマッチング

これらはものと記号を結び付けるマッチングの前段階や並行して行っています。

ここでのマッチングは見る力を身に付ける学習としても有効的です。

これらのマッチングは難易度が変わってきます。

同じものを使う方が難易度は低い異なるものを使う方が難易度は高い。さらにはカテゴリー分けについても紹介します。

同じもののマッチング

使用するものによって難易度が異なり、実物→写真→絵の順に難易度が高くなっていきます。(つまり実物、写真、絵の中であれば実物が一番難易度が低い)

理由としては実物は身近にあるものとして触ったり匂いを嗅いだり多くの刺激から日常の中で学習しているからです。

ここでは絵カードのマッチングを例として進めていきます。

準備物としては全く同じ絵カードを必要とします。

進め方

準備(大人側に見本カードを一枚。子ども側にカードを複数枚)
①子どもに同じものを選んでもらう。
②子ども側は目前のカードを手渡す(または指さしでも可能)
※並べるカードの選択肢が多くなるほど難易度が高くなります。

異なる絵のマッチング

進め方

準備(大人側に見本カードを一枚。子ども側にカードを複数枚)
①子どもに同じものを選んでもらう。
②子ども側は目前のカードを手渡す(または指さしでも可能)
※始めは見本絵カードと類似するイラストから始めると負担が少ないです。

進め方は同じもののマッチングと同様ですが準備するものが異なります。

絵カードの”みかん”を挙げたとしても”みかん”のイラストと言っても数えきれません。

みかん全体が映っているイラスト、断面的なイラスト、色や模様が異なるイラスト、線画など多岐に渡っています。

子どもにとって”みかん”という果物のことをどこまで理解しているか

みかんと言ったら…オレンジ色、皮の付いてるもの、丸いものなど。

これらを理解していないと見本である”みかん”のカードを見てもマッチングすることが出来ません。

これらを学習することもこのマッチングの狙いとも言えます。

カテゴリー分けのマッチング

進め方

準備(絵カード、箱)例)乗り物(車、飛行機、電車)、果物(みかん、りんご、ばなな)
①絵カードを子ども側に並べる
②乗り物の箱、果物の箱な中に正しいカードを入れる
※箱は無くても可能ですがカードを置く場所として明確です。

今回は同じカテゴリーに分けるという話をしましたが、色や形、大小などの属性のマッチングも行うことによっことばの発達を促すことも出来ます。
カテゴリーには果物や乗り物、生活道具等がありこれらを正しく分けるという活動があり詳細は「食べ物には果物もやって野菜もあるよ~カテゴリー分けの大切さ~」で解説しています。

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ものと記号のマッチング

冒頭でもお伝えしましたが、ものには名前あります。

例えば、みかんの絵カードを見て「みかん」と言ったとします。

この場合は音声と絵が一致しておりマッチングが行われています。

ことばを覚え始めた子どもは散歩中の犬をみて「わんわん/いぬ」と言うかもしれません。これもマッチングが出来ている証です。

このように見たものに対して音声で言うことを繰り返してことばのやりとりを習得していきます。

そしてお友達やママ・パパに伝えることが楽しくなります。

この楽しいという気持ちを育むためにことばの教室の先生たちは絵カードを使ってことば(音声)を引き出すマッチングを行います。
絵カードの種類や使い方に関しては「ことばを育む絵カードの使い方」で詳細を解説しています。


ものを示す表現(記号)は音声だけではありません。

絵や写真も記号として表現することが出来ます

そして私たちの身近に存在している文字も記号です。

私たちが始めに文字を学ぶ時は一文字とその音声を結び付けることが行われます。

”み”という字を見たら「み」と言うように。文字も音声もことばを表現する記号として扱われますが、文字学習を行うときも音と文字を結び付けることを行います(音声と文字のマッチング)。
(就学後に本格的に始まる文字学習としてひらがながありますが、ひらがなの基本は一文字一音対応です。)

文字と音が互いに関連し合っていることを学習するために音声と文字(または絵と文字)のマッチングを私たちは無意識の中で繰り返し学んでいました。

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絵と文字のマッチング

ひらがな学習は書くよりも先にまず読めることが必要です。

その読む練習の課題の中に絵と文字のマッチングがあります。絵を見るというのは一度頭の中で音として変換する必要がありその音と文字を合わせるという事が絵と文字のマッチングの目的となります。

これは絵に合った文字を合わせるというもの。簡単そうに思いますが子どもたちに教える側の先生は「傘はどれ?」のように音声に出しながら問題を出すパターンが多いです。これでは音声と文字のマッチングになってしまい、絵と文字のマッチングではありません。これでは本来の目的ではありません。

絵とひらがなを結ぼうプリントでは鉛筆を使用し線を結ぶ学習です。鉛筆を苦手とする場合は指差しでも可能です。「線を結びましょう」「(絵を指差ししながら)これと同じのはどれ?」等の質問をしながら学習を進めていきましょう。

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まとめ

マッチングはことばの土台となるものです。

同じものを合わせることや異なったものを合わせること。様々なマッチングの方法があります。

そしてものと記号(音声や文字)を結び付けるということも重要なことです。

今回紹介したマッチングは発達の初期段階のみで用いられると思われがちですが実は初期段階に留まらず生涯学習においてマッチングというものは必要不可欠なものです。

マッチングの他ことばを育む方法は無数にあります。ことばを育むおもちゃやカードについては「ことばの発達におすすめおもちゃ・カード」で紹介しています。

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まずはことばのやりとりが楽しいという気持ちを育むために負担をかけずマッチングを意識した活動・生活を送ってみてはどうでしょうか。

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