ことばを育む絵カードの使い方

絵カードはことばを育てる教材として度々使われ、子どもだけでなく大人でも用いられています。

絵カードの使い方は奥が深く私自身も知らない方法はたくさんありますが、今回は私が(主に1歳〜2歳の)子どもに用いる絵カードを使ったことばの育み方を多くの人に知って頂ければと思い綴りました。

絵カードってどうやって使うの?
家でもできる?

記事後半にお家でも出来る方法を紹介します


記事の後半部分ではご家庭で出来ること』として紹介しています。※個人の見解です。

ここで使用したカードやことばを促すおもちゃは『ことばの発達を促すおすすめおもちゃ』で多数紹介しています。

どのような絵カードから進めていく?

皆さんは「絵カード」と聞くと何を思い浮かべるでしょうか。

私は絵カードと言えば食べ物動物カードを思い浮かべると共にそれらから使い始めることが多いです。

なぜならその絵カードは子どもの身近にあるもので興味を惹きやすいからです。(子どもにとって身近なことばの方が親しみのあるものと認識しやすいです。)

身近なことばである食べ物や動物は単語カードとも呼びます。

単語には生活道具や乗り物、植物なども含まれており、たくさんのことばが存在しています。

単語カード以外には2枚を合わせると1つの絵になる絵合わせカード、ひらがなやカタカナなどの文字カード、標識やピクトグラムのような記号カード、学校や公園などの様子を示す場面カードなど。

絵カードと言ってもたくさんの種類があるため、現在の子どもに適したものを選ぶ必要があります。

最近では100円ショップでもたくさんの種類の絵カードが用意されているので是非ご覧になってみてください。

どのようなことばから教えていけば良いか知りたい方は「子どもに教えることばはどれにする?」の記事で解説しています。

絵合わせカードを使ってみよう-ぴったりカード

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絵カードというと1枚のカードに1種類以上の絵が描いてあるものを想像すると思います。そのカードから始めることも多いですが、絵合わせカードを使うこともあります。

絵合わせカードは2枚のカードを合わせると1枚の絵が完成出来る絵カードのことです。

絵合わせカードは3つの使い方で学習します。

絵合わせカードの使い方

・カードを合わせる
・カードを分ける
・カードを選ぶ

カードを合わせる


カードを合わせうることによって片方の不完全な絵を見てどのような絵か想像することや合わせたら一つの絵になる」という内言語を学習することが出来ます。

手を動かして見ている場所にカードを合わせるという動作も大事な動きの一つです。

合わせるという考えは絵合わせカードだけでなく、他の絵カードでも応用して使えます。

合わせることをマッチングという言い方をしますが、見たカードの名前を話すこともマッチングです。

使用した絵カードは『どうぶつえあわせ』ポプラ社

例えば、犬という動物を見て「いぬ」と話した場合は、それは実物と音声のマッチングが可能ということ。

もし犬を見て「ねこ」と言った場合はこのマッチングが不成立であるため、実際の犬と音声「いぬ」を結び付ける学習を行っていく必要があります。

絵カードマッチングを実施する目的や進め方については「ことばを伸ばす絵カードマッチング」で詳細を解説しています。


絵合わせカードを分けよう

子どもの目の前に1枚のカード。大人側には2枚のカードを置きます(1枚はダミー)。

子どもは目の前にあるカードを上の正しいカードに置くという能力が必要となります。

1枚の絵カードを合わせるだけだと、変な話ですが絵を認識しなくても偶然出来てしまうこともあります。

しかしこのように1枚のカードを適切な方へ当てはめるという方法は、上2枚の方が「それぞれどのようなものか」「1枚のカードがどれに当てはまるか」などを考える必要があるため、1枚ずつ合わせる課題とは難易度が異なります。

絵合わせカードを選ぼう

使用した絵カードは『どうぶつえあわせ』ポプラ社

手前の2枚の中から上の1枚のカードに当てはまるカードを見つける学習です。

これは複数のカードから当てる方法ですが、子どもが選んだカードを大人側が手渡しで受け取る方法がおすすめです。

日常場面では人を交えたやりとりが無数に飛び交います。例えば目の前にご飯があったらどのように食べるでしょうか。

手掴み食べの場合もありますが、食具を知っていたらスプーンを用いてご飯を食べるかと思います。

食卓の上にはコップやエプロン、おしぼりなども並んでいると思います。

場合によっては自分でスプーンを取りに行くということも考えられます。

それらの中でスプーンを選ぶということは、スプーンの使用用途スプーンとご飯の関連性を理解しているということ。

日常場面で当たり前のように出来ていることが実はとても大切で対象を見て複数のものから関連するものを選ぶというのは無数に行われています。

そのため適切なものを選ぶという観点から絵合わせカードで選ぶ方法を紹介しました。

実際には絵カードではなく実際のものを用いながらやりとりをした方が明確に理解しやすいです。

基本的な絵カードの使い方

ことばの教室の先生たちが使う絵カードの使い方は大まかに2つあります。

それは
①絵カードを選ぶ(受容課題) ②絵カードを言う(表出課題)の2つです。

絵カードを使って理解度を確かめよう(受容課題)

では早速「絵カードを使ってお話ししよう」と始めたいのですがその前に重要なことがあります。

「絵カードを使ってことばを促す」と聞くと大勢の人が話すことに焦点を当てます。

始めから絵カードを使って「これなに?」と聞いて絵の名称を促すに取り組むこともありますが、まずは言われたことばを理解しているか確認することが重要です(受容課題と言う事もあります)。

例えば、犬と車の絵カードが並んでいる状態で「いぬはどれ?」と言って”犬”絵カードを選んでもらうようなことです。

ことばは理解が進むにつれ音声として話すことが出来るため始めは聞いたことばを選ぶ学習から進めていきます。

聞いたことばを選ぶというのは絵カードを渡したり、指さしたりのやりとりが生まれます。

ことばの学習において絵カードを選ぶ学習はあまり浸透していませんが、これが出来るようになると絵カード内だけでなく日常場面で「コップ(持ってきて)」と言ったらコップを持ってくるという現象も起きます。

このような現象が増えると日常でのやりとりも活発になりことばの獲得に繋がります。

そのため絵カードを選ぶ学習は日常に直結するとても魅力的な学習になっています。

※音声言語だけでなく実物やジェスチャーなど、より実際のものに近い形で伝える方が理解しやすいです。そのため絵カードや実物などを交えながらレッスンを行うことも多いです。

※名詞カードだけでなく、動詞カードなどに対してもこれらのやり方を用いていきます。

オノマトペから始めてみる

オノマトペというのは擬音語・擬態語など表現する場合もあります。

例えば犬のオノマトペは「わんわん」、車のオノマトペは「ぶーぶー」が当てはまります。

オノマトペは同じ音を繰り返すことばでとても聞き取りやすく言いやすいものばかりです。

「いぬ/くるま」と言っても選択することが難しくても「わんわん/ぶーぶー」と言うと選択できることが多々あります。

このように音声言語の導入としてオノマトペを使うことが多いです。

オノマトペの内容や種類については「オノマトペってどのようなことば?」で詳細を解説しています。

絵カードを見てことばを言う(表出課題)

ことば本来の目的やことばを話す理由についての詳細は「マンド・タクト・エコーイック~言語行動を再考する~」で解説しています。

絵カードを用いたことばを言うレッスンはシンプルで、絵カードを見てもらいその名前を言ってもらいます(表出課題とも言います)。

ポイント

①絵カードの名前を言う
②真似して言う
③絵カードを言う工夫

絵カードの名前を言う

大人側が絵カードを提示して子ども側はその名称について答えます。(上記記事ではタクトという言語行動に該当します)

例えば、うさぎの絵カードを見たとします。それに対して「これなに?」と聞いて「うさぎ」と言ってもらうことです。

一方初めての絵カードを見た時は名称がわからず答えられません。

その場合は下記のように真似して言ってもらいましょう。

真似して言う(復唱・エコーイック)

犬の絵カードを見た状態で真似して「いぬ」を言ってもらいます(復唱またはエコーイックと言います)。

真似して言ったら終わりでなく、「これなに?」と一人で言えるか確認しましょう。

絵カードを言う工夫

しかし、実際には単に絵カードを見て名称を話すだけでは面白味がありません。

そのためことばを真似して言えたら、そのカードを渡ことやご褒美シールを使うなど出来たことに対して褒めてあげることが必要になります。

手元にカードやご褒美シールが貯まることによって達成感を感じやすく学習意欲が一層高まります。

この方法だけでなく
箱に入れことや洗濯バサミを挟ことも面白いです。

言う→もらう→動作(入れる、挟むなど)の流れを行うことによって【言う】だけに集中する時間に充てることが出来ます。

私たちも外国語をひたすら唱えているより途中体を動かしたりすることによって気分転換になることがありますよね。

繰り返し【言う】だけよりも動作を加えることで気分転換になり長く行えることが多いなという印象です。

そのため言う+αのことを交えながら行うと子どもに絵カードがより楽しめるものになるのではないかと思います。

また絵カードを介しながら子どもの発したことばに+α付け足すことや、間違ったことばを自然な流れでお手本で伝えることが大半です。
どのような声掛けをしたらいいか知りたい方は「言語心理学的技法から考えることばかけのポイント」で詳細を解説しています。

ここまでことばを話していくやり方についてお話ししましたが中には音を発することが苦手な子もいます。

そのような場合は絵カードを介してやりとりを楽しみましょう。

例えば絵カードを渡して大人がそのカードの名称を伝えることを繰り返し行っていきます(フラッシュカードよりも速度は遅め)。

繰り返した後ワンテンポ空けて(間を開ける)名称を聞かせてあげてください。

ワンテンポ開けることによって子どもにとって「あれ?言わないの?」と思って大人の顔を覗くことも多いです。

ことば本来の目的はコミュニケーション手段として使われますが大人の方を見ることもコミュニケーションの表れです。

そのためまずは無理やりことばを発することを促すのではなくやりとりを交えてコミュニケーションの意欲を高めていきましょう。

保育園での絵カードの使い方

絵カードはお子さん全員が楽しめるものです。

お友達全員と絵カードの名前を「せーの」で言ったり、

遊びとしてのツールだけでなく、活動の説明等で絵カードを使って説明することも理解しやすいです。

特に工作などの手順がある活動に対して一つずつ絵カードや実物を見てもらうだけでも理解度が全く異なります。

一人のお友達が理解出来たら、そのお友達が違うお友達に教えてあげる等、「教えてあげる」の連鎖が生まれることで協調性のあるクラスにもなります。

家でも出来る絵カード遊び

ここまでのお話はご家庭でも出来ますが、絵カードは準備をすることやカードの選定をすることは意外と労力が必要です。

ここまで読んで「やり方はわかったけど準備が大変」「絵カードの使い方がイマイチわからない」と感じた方もいるかと思います。

そのためここからはご家庭で行いやすい絵カードを使った育みをお伝えします。

家庭で大人も子どもの双方とも負担なくできる方法は絵カードを用いたやりとりを中心に行ってみてはどうでしょうか。

絵カードを近くに置いておく

「よしやるぞ」と意気込んで絵カードを持って子どもの側に行くと、「今じゃない」「ちょっと恐い」と言わんばかりに他所へ行ってしまった経験はありませんか。

子どもは大人以上に普段と違った環境に敏感です。

そのため日常生活と変わらない状態でより自然な流れで絵カードを置いておきましょう(絵カードに慣れてきたら大人側からの働きで絵カードを持っていっても構いません)。

そうすることで子どものタイミングで絵カードに興味を示すのではないでしょうか。

注意点は絵カードを使う時はたくさんの絵カードを同時には出さないようにしましょう。

たくさんある状況では絵を見て楽しむというより一塊の絵カードをパラパラと手で動かすことに夢中になってしまうことが多いです。

そのためたくさんの絵カードではなく大人自身で管理ができるような枚数を準備しておきましょう。

始めは5枚以下の枚数から始めて少しずつ増やしながら試みてはどうでしょうか。

絵カードの名前を指差しながら伝える

絵カードを実際手に取ったら指差しながら「犬/わんわん」とことばを伝えましょう。

子どもが見ているものに対して声掛けするこもは大切なこと。

声掛けをする時は単語のみで構いません。

ことばは文として長くなるほど聞き取りにくいです。

ことばをこれから学習していく1〜2歳の子どもにとって長い文章を理解することは難しいです。

そのため、まずは短いことばで伝えましょう。オノマトペで伝えることもおすすめです。

それだけでなく、そこに指差しも追加していくことによってやりとりの幅が大幅に広がっていきます。

「指差ししたらことばを言う」という考えを身につけるために指差しの使い方を見せてあげましょう。

ここで真似して指差しが出来るようになったら、指差しが出来たタイミングでその名前を伝えていきましょう。

これを繰り返すことで指差しの使い方を学習し、やりとりの幅が大幅に広がっていきます。

絵カードに限らずおもちゃは子どもとそれだけで完結することが意外と多いです。

人とのやりとりを考えるとそれは好ましくありません。

もしおもちゃを使って遊んでいたらそこに大人が入りやりとりの機会を作っていきましょう。

※子どものペースを乱すような過度な声掛けなどの介入はお気をつけ下さい。

これらのやり方は準備する物が少なく、声かけや指差しなどのやりとりを意識すれば出来る方法なので参考にしてみてはどうでしょうか。

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くもんのカードはカード自体が大きく、カードを捲ったり取ったりすることが容易です。フラッシュカードのようにカードを次々と捲る必要があるときな大きいサイズの絵カードがいいですね。裏面には描かれた絵の説明文があるため、どのような絵なのか子どもたちに説明しやすいです。

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コロロメソッドは絵カードとひらがなカードがセットになっている教材です。ひらがなカードもあることで読み書きの学習を進めることも出来ます。

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まとめ

ここまで私が度々使っている絵カードの使い方についてのお話でした。

あくまで私が使っている方法なため絶対的なものではありません。

これらの方法を実施したからといって必ずしもことばの獲得が保証されるものでもありません。

ただ「ことばを育むにはどうしたら?」という悩みを持つ方が大勢います。

そのような人たち、または子どもに関わる人たちに向け、何かしらのヒントになったら良いと思い今回の記事を作ろうと思いました。

絵カードの使い方は様々で私の知らない方法がたくさんあります。

中には絵カードは不必要と感じられる方もいると思います。

ことばの育みを絵カードだけで完結してはいけません。

絵カードを使って学んだことに日常に生かしていかなければいけません。

日常で活かすということは大人の声掛けや環境を整えることが大切なポイントかと思います。

個人的な見解の内容で綴りましたが好評でしたら私が行っている方法など今後も書いていこうかと思っています。

では今回はこのへんで。最後までお読みいただきありがとうございました。

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