フリートークの目的や話題はどのようなもの?!

フリートークは自由会話とも言われていて、日常生活でお友達や家族と他愛ない話をするかと思います。

ことばの指導でもこのようなフリートーク中心の指導を進めることもあります。

一見すると「(指導で)なにをしているの?」と思われるかもしれませんが、しっかりとフリートークには目的があります。今回はそのようなフリートークについてのお話。

フリートークはどのような話をするの?!

フリートークは全員が「〜ついての話をする」という決まりはなく、相手によって話題は変わっていきます。

例えば、「学校で楽しかったこと」「家族でお出掛けしたこと」のように楽しかった話題や「学校で忘れ物しちゃった」「筆箱が壊れちゃった」など悲しい話題など様々です。

決まった話題がないからこそ、子どもによって話題を変えることやフリートークを進めながら話題を継続するかとや変更するなど機転を効かせる必要があります。

嬉しかった、楽しかったことなど正の感情が生まれる話題の方が導入として取り入れやすいです。

逆に悲しかった、怒ったなどの感情については感情調整を目的とした場合で用いることが多いです。

このように全ての子どもに統一で統一するのでなく個々に合わせた内容でフリートークを進めていきます。

ことばの指導でのフリートークを使う目的

吃音、発音(構音)指導場面におけるフリートーク

吃音や発音指導(以下.構音指導)における場面においてフリートークを用いることがあります。

どのような場面で吃音症状が出現するか確認することや話す速さ(発話速度)や正しい音で話しているかの確認していきます。

ことばの指導では絵カードを用いて進めることも多いのですが、ことばでのやりとりは、単語レベル、2語文レベル、3語文レベルのように話す長さが変わっていきます。日常会話では単語レベルで受け応えることや単語がたくさん連なった文で話すことも多いです。

そのため日常生活での会話レベルの習得としてフリートークを実施することが主な目的です。

吃音指導や構音指導においてはこの辺りが共通しており、症状に合わせて難易度を調整して進めていきます。

下記に吃音指導、構音指導の例を記しておきます。

吃音指導例(フリートーク)

吃音症状の出現する場面を特定した後その場面に類似する話題で進めます。(吃音指導初期はそのような話題を外すこともあります。)
例えば、学校生活における話題で吃音症状がみられ、単語レベルでの回答で出現する場合ははいーいいえで答えられる質問にする、文レベルで出現の場合は単語で答えられる質問にする。
吃音症状が少なくなるように指導者側が環境調整することやどのように工夫したら自分の言いたいことを伝えられるかを練習する場としてフリートークをすることがあります。

構音指導例(フリートーク)

目標音を含む文の話題でフリートークを進めていきます。
構音指導においても音節、単語、文レベルのような段階を経ながら行われていきます。フリートークをしながら日常会話レベルでの構音が獲得されているか確認することや目標音の練習をしていきます。
※吃音・構音指導においてあくまで一例であるため、子どもによって指導内容は変わっていきます。

文法指導のためのフリートーク

ここでいう文法指導はことばの指導全体をイメージしてください。ことばの指導は絵カードを用いるだけでなく会話でのやりとりでも行なわれています。

その中でもフリートーク内でどれくらいことばを話せるのかという点に注目します。

上記の吃音・構音指導と同様、ことばの能力を見極めます。単語レベル、文レベルどの段階の会話が可能なのか。どの話題が発話量が多いかなどを確認していきます。

誰が、どこで、何をした。など5W1Hの要素を複数取り入れた形で答えてもらうと相手に伝わりやすい発話を学習することが可能です。

下記においてこれらを含めた例を記しましたが、5W1Hの要素を含めるほどことばがより具体的に表現される一方、ことばの難易度が上がります。

そのため文法指導では口頭だけのやりとりだけでなく、下記のような5W1Wの要素に沿って話せるように視覚的に文字や枠などで示すとより良い学習指導が進みます。

5W1Hの要素を複数含めたことばの例

①「だれが」「どこで」「何をした」
=「ぼくか公園で遊んだ」
②「だれと」「だれが」「何をした」
=「ぼくとA君が遊んだ」
③「だれと」「だれが」「どこで」「何をした」
=「ぼくとA君が家で遊んだ」
④「だれと」「だれが」「どこで」「どうやって」「何をした」
=「ぼくとA君が家でゲームをして遊んだ」

※「いつ」を使うことも多く上記と組み合わせて使うこともあります。

文法指導におけるポイントを記したので、これらのポイントも意識して進めてみてください。

文法指導でのポイント

・単語レベル、文レベルの確認
・話題内容による発話量
・助詞や接続語の正誤
・現前、非現前事象の会話内容

感情調整のためのフリートーク

これまでのフリートークの目的は主にことばの学習を目的としたものでしたが、こちらは気持ちの面を整える目的で行います。

私たちも仕事で忙しくて心身が疲れた時などは誰かと話したい気持ちになったことがあるかと思います。

それは嫌な気持ちだけでなく、嬉しい気持ちなども人と会話することでより一層嬉しい気持ちが生まれることや共感したい気持ちも生まれてきます。

このように誰かと会話をすることで感情を整えることもできます。

ことばを使って上手にやりとりすることに対して苦手意識のある子どもは、話す経験が少なかったり、話す自信がなかったりもします。

そのため家族以外の人である指導者と話しをするという経験もことばを育むという点でとても素晴らしいことです。

その時の話題は楽しい話であったり、時には嫌な話だったりもします。指導者側が意識しなければないらないことは、指導者側が質問ばかりしないことです。あくまで感情調整での会話は子どもからの話題の発信に対して傾聴することや話をしやすい環境を整えるということが重要です。

フリートークの話題

最後にフリートークの話題について話をしようかと思います。

子どもが話したい気持ちが強い話題は楽しい・嬉しいなどの正の感情に対する話題です。

好きなものや、得意なことなどを話題として選ぶと進めやすいです。

しかし、毎日好きなものや得意なことを話したい訳ではありません。時には正の感情に対する話題の方を求めていることもあります。

そのため、その日の子どもの反応を確認しながら進める必要があります。もしどのような話題がいいか悩んだ際は会話のきっかけとしてテーマの書かれた複数のカードからランダムに選んでもらい、そのお題について話すという方法もあるので、そのような方法も使ってみてはどうでしょうか。

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