ことばの発音はどのような過程で獲得していくのか

こんにちはコトノハ教室です。

私たちが日常生活で当たり前のように使用していることばですが、1歳頃になると初語と呼ばれる初めてのことばが出ると言われています。初めは幼児語と呼ばれることばから獲得していきます。そこから物の名前だったり、動作を示す動詞などを獲得していきます。

とは言ったもののことばを話し始めた当初より明瞭なことばで発音ができる訳ではありません。発音にも獲得年齢が決まっています。

今回はその発音の獲得年齢についてお話しをします。
※ここで表記している年齢は目安として捉えてください。

✔本記事の内容

〇発音に必要な能力がわかる
〇レッスンの進め方がわかる

「発音には獲得年齢がある」と言っても?

冒頭でことばは1歳頃から話し始めるとお伝えしましたが、発音とことばは分けて考える必要があります。

ことば→初めてのことばとして「まま」という初語があります。このことばは【「まま」と発したらお母さんが振り向いて反応してくれる】の流れで獲得していきます。もし自分の子どもが「まま」と初めて呼んでくれたら飛び跳ねるくらい嬉しいですよね。この【嬉しいという気持ち】は子どもも同様です。嬉しい気持ちがあることによってことばはどんどん増えていきます。
そこから段々とことばの数が増えていきます。
例えば車(ぶーぶ)や犬(わんわん)を見て「うーう(ぶーぶ)」「あんあん(わんわん)」を言うことは決して珍しくありません。
「うーうー」「あんあん」と車や犬を見てそのように言ったのであれば、「ことばを獲得している」と言って良いでしょう。

つまり
正しい発音が出来ていなくてもことばの獲得は進んでいくということ
実際のものを見てそれが何か理解出来ているものがことばと言えるのではないでしょうか。

発音→ことばを相手に話す時により明確に伝えるもの。
対象物である車や犬を見て「うーう」「あんあん」と言った場合、聞き手も一緒に対象物を見ていれば“車”“犬”を示していると理解出来ます。しかし、その対象物を見ていない他人に「うーうー」「あんあん」と言っても伝わらないかもしれません。しかし、明瞭に「ぶーぶー」「わんわん」と話すことによって対象物を見なくても何を示しているのか理解することが出来ます。このように発音はより明確にことばを伝えるときに必要になります。

発音は早い段階で練習した方がいい?

「子どもの発音がはっきりしない」と悩みを抱えて相談に来る方がたくさんいます。
発音というのはことばがあってこその存在。
つまり、発音の練習よりことばの数を増やしていくことが優先となります。

口腔内の発達(特に舌の動かし方)は5歳前後に獲得すると言われています。
ということは5歳を過ぎないと全ての日本語の音は獲得出来ないということ

逆に言うと、4歳にも満たない子どもに対しては正確には発音練習ができません。
そのため、4歳頃の子どもに対しては発音の練習をするよりことばの使い方を教えてあげることに焦点を当てて関わっていきます。

5歳を過ぎた子どもでことばの数やことばの使い方が十分
だけど、苦手な発音がある場合は発音の練習をしていきましょう。

どのような能力が上手な発音の獲得に結びつく?

口腔内の発達(特に舌の動かし方)は5歳前後に獲得することは上記内容に示した通りですが、口腔内の発達だけが必要な訳ではありません。
まずはことばを聞き分ける力が大切です。
例えば「か(傘)」を「か(傘)」と発音してしまう子どもの場合は、始めに傘の絵カードを示しながら「これは「かさ」「かた」どちらが正しいですか」と聞き、目標となる音(かさ)を理解出来ている必要があります。
これはなぜ必要なのかというと…


間違った音を発した時に『この音ではない』と自分でフィードバックをしてほしいからです。これを自分でフィードバックすることによって自分で間違いながらも「この音じゃないな…こうかな…」と正しい音に向けて練習を繰り返し出来るからです。

音を意識できる力を身につける。
ことばは音と音の組み合わせで成り立っています。
例えば「さかな(魚)」という単語。
「さかな」と言うことばはいくつの音で出来ていますか?という質問。みなさんはいくつだと思いますか。

正解は…
【さ・か・な】→3つの音ですね。このように単語がいくつの音から成り立っているのか理解すること音韻意識と言います。

音韻意識は他にも
「さかな」という単語に「な」という音はどこにありますか?
→◯◯●   前から三番目(後ろから一番目)。
このようにどこに目標の音があるのか考える(操作)できることも音韻意識が関わっています。

音韻意識は4歳から少しずつと発達していきます。

私たちが子どもの頃に階段を使ってジャンケンをする遊び【グリコ】はこの音韻意識を使った遊びになります。
そして!誰もが知っている【しりとり】。最初や最後の音を認識して単語を連想しなければならないため、実は音韻意識が関わってきます。

この音韻意識は発音だけでなく、文字の読み書きにも深く関わってくる重要なポイントです。

上手な発音を獲得していくためには、
始めから単語を話してもらう訳ではありません。

実際には以下のようなステップで進めていきます。

このラインより上のエリアが無料で表示されます。

①舌を正確に動かす
②子音の練習
③1音の練習
④単語の練習
⑤文章の練習

①舌を正確に動かす
正確な発音を出すためには舌を思うように動かせる必要があります。
舌を動かす場所は舌先だけではありません。「舌の奥を動かす」ということも必要になります。舌の奥を動かすと聞いてもイメージできる人は極僅かではないでしょうか。奥舌を動かして発する音は「か行」が当てはまります。この奥舌を動かす運動は“うがい(がらがらぺっ)”の動きがこれです。意外と身近にこの動きがあったと感じるかと思います。
このように子ども自身がお手本のように同じ動きが出来るように練習していくことが求められます。

②子音の練習
私たちが発している音は母音と子音を組み合わせています。
例えばさ行を考えてみましょう。
さ行→さしすせそ
ローマ字にするとわかりやすいのですが… sa・si・su・se・so
太字になっているsが子音部分となります。
この段階の練習ではこのsについて練習をしていきます。
sという音は「内緒だよ しー」の「しー」部分を内緒話で発した音がこれに当てはまります。舌と前歯の間から息を出すようなことをイメージするとわかりやすいかもしれません。
このように、最初から「さ・し・す・せ・そ」と音を発するのではなく、さらに子音と母音を切り分けた子音部分を練習していきます。

③単音の練習
子音が上手に出来るようになったら、母音も加えて一つの音として練習していきます。
sの音ができるようになったら「sーーーa」のように子音を伸ばしながら最後に「a(あ)」を加える。
そして徐々に
「sーーa」
「sーa」
「sa」
のように伸ばす間隔を短くして最終的に一つの音として繋げていきます。

単語の練習
一つの音を出すことが出来たら、実際の単語(ことば)で練習をしていきます。
おすすめの単語は2文字か3文字のものが良いです。
例えば「さめ」や「かさ」などのことばから練習をしてみてください。

単語の練習では目標音の位置にも注目する必要があります。
例えば「さ」という音を上手に言えない場合を考えてみます。
「さ」の付く音を考えてみると…
「さめ」「はさみ」「かさ」など。
「さめ」のように始めに「さ」が付く音を語頭音
「はさみ」のようにことばの中に「さ」が付く音を語中音
「かさ」のようにことばの終わりに「さ」が付く音を語尾音   と言います。

目標音の場所によっては言いやすい言いにくいがあるため、それを見極めながら進めていくことが大切です。

文章の練習
単語で上手に発音出来るようになったら単語や助詞などが連なる文章での練習になります。文章は日常生活でよく使われる形態のため、最終段階といっても良いでしょう。
こちらもスモールステップ。
最初は2語分、3語分など徐々に文章の長さを増やしていきます。

例えば目標音が「さ」の場合
かな(魚)のしみ(刺身)」
ばいて(捌いて)しみ(刺身)で食べます。」
かな(魚)をばいて(捌いて)しみ(刺身)で食べます。」

このように目標音が多く含む文章で練習をしていきます。
文章は長くなるほど難しくなります。私たちも長文を話すときは途中で詰まってしまうことがあります。そのため、求められるレベルに合わせて目標を決めていきましょう。

最後に言いたいこと

ことばは実際に話しことばとして実施に表に出てくるものです。
そのため「ことばが出ない」「はっきりとした発音でない」等、すぐに気づかれることが多いです。
表部分でのことばの不安に気がついたのなら「どうしてそうなのか」と裏の側面に注目しましょう。
今記事でお話ししたように上手な発音の獲得には、聴覚や口腔内の状態や機能に着目するだけでなく、語彙力知能面音韻意識等といって多数の要因を総合的に考えていきます。もし「上手に発音出来ていない」と感じられたらこれらの要因を考えながら発音練習を検討していきましょう。

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