ひらがなは読めても、漢字の学習になると急につまずいてしまうお子さんに心当たりはありませんか?
小学校高学年にもなると周囲との差も気になり、保護者の方も不安になりますよね。
漢字が苦手なのは決してお子さんの怠けや努力不足ではなく、ちゃんと理由や原因があります。
実際、漢字の覚え方には個人差が大きく、成長のペースも一人ひとり違います。
「周りの子はできるのに、なぜうちの子は…」と悩みすぎる必要はありません。
それよりも、お子さんの「漢字嫌い」をこれ以上進めないように、楽しく学べるサポートを考えてみましょう。
もし漢字のことでお子さんが「自分はバカだ…」などと口にするようになったら要注意で、それは自信を失いかけているサインなので、早めに対策してあげることが大切です。
ひらがな学習と同様、何度も漢字を書き取りさせるようなやり方は逆効果になりかねません。
漢字の学習方法は何度も書くだけではないため、ぜひお子さんに合ったやり方を見つけましょう。
この記事では、お家で今日からできる具体的な支援方法と、お子さんが取り組みやすい教材をご紹介していきます。
支援方法:日常生活でできる工夫あれこれ
音読を習慣づける
音読の習慣づけは、漢字への抵抗感を減らす第一歩です。
教科書や好きな本の朗読を親子で交代でしたり、一緒に音読することもいいかもしれません。
声に出して読むことで目と耳の両方を使い、記憶に残りやすくなります。
視覚的なサポート
漢字そのものだけでなく、絵や色の力を借りることも必要なこと。
例えば漢字の部首ごとに色分けしてみたり、漢字の意味に関連するイラストを添えて覚えるやり方もあります。
「草」という漢字であれば、「草冠」を緑色にしてカラフルに表現することや、「草」という漢字の周りや漢字の上に草のイラストを描くとイメージが結びつき記憶に残りやすくなります。
部屋の扉に学年別の漢字ポスターを貼って日常的に目に入るようにしたり、覚えたい漢字カードを部屋の壁に貼るのも良いアイデアです。
目から入る情報を増やし、漢字を身近に感じられる工夫をしてみましょう。
ICTの活用
紙と鉛筆だけが勉強ではありません。
タブレット学習や漢字アプリを使えば、ゲームのように漢字練習ができます。
画面上で指を使ってなぞる漢字ドリルアプリなら、鉛筆がうまく持てない子でも取り組みやすく、書き順アニメーションや音声読み上げで正しい形と読みを楽しく学べます。
またパソコンで文章を書いてもらうことも一つです。漢字が思い出せなくても変換機能で出てくるので、「読むのはできるけど書けない」というお子さんでも文章表現の練習になります。
必要に応じてルビ(ふりがな)付きの読み上げ機能や電子辞書を使えば、自力で文章を読むハードルも下げられます。
こうしたICTツールは、漢字の苦手意識を軽減しながら自然な流れで漢字の学習へと繋がります。
漢字だけでなく文章と合わせて学習する
漢字そのものの形だけ覚えても、実際の文章で使えないと意味がありません。
漢字練習の際に対象とする漢字を使った簡単な言葉や文もセットで教えてあげてください。
たとえば「住」という漢字単体より、「家に住む」の文章にした方がイメージがしやすいです。
興味のある分野の本やマンガを与えてみるのも手です。ふりがな付きの本であれば、自力でどんどん読み進めるうちに知らない漢字にたくさん出会えます。自分の興味のあるマンガやテーマに関する漢字は遊び感覚で自然と身に付くことも多いです。
「この漢字、なんて読むでしょう?」といったクイズをゲーム感覚でやることで、遊びながら語彙力と漢字力をアップさせることができます。
おすすめ教材紹介:漢字嫌いな子も楽しく学べるツールいろいろ
漢字に苦手意識のあるお子さんでも取り組みやすい教材を、紙教材・カード教材・デジタル教材のそれぞれでご紹介します。お子さんの興味や学びやすさに合わせて、ぜひ試してみてください。
『漢字が苦手な子どもへの個別支援プリント』シリーズ(紙教材)
特別支援の現場から生まれた漢字練習ドリルです。「苦手な子でも安心して取り組める問題量」に抑えられており、短時間で終わるから達成感が得られて継続しやすい工夫がされています。
1年生のひらがな・カタカナから、小学校各学年の漢字までステップごとに分かれているので、お子さんのレベルに合わせて選べます。
問題も一律ではなく、「読む練習だけ」「書く練習だけ」といった形で苦手に応じて使える構成になっています。大手書店やネット通販で購入でき、家庭で手軽に取り組める定番教材です。
改訂 漢字が苦手な子どもへの 個別支援プリント ステップ2 1年のかん字(80字)
『意味からおぼえる漢字イラストカード』シリーズ(カード教材)
漢字の意味を絵で表したカード型の教材です。
「漢字が読めるけれど書けない」「細かい部分でよく間違える」といった学習障害のある子向けに作られており、表面にかわいいイラスト+矢印などのヒントが描かれ、裏面には漢字と読み・書き順・例文が載っています。
見て楽しいのでドリルより食いつきが良い子も多く、ゲーム感覚で漢字を書き取る練習ができます。
各学年別にセット販売されており、Amazon等で購入可能です。
『ミチムラ式 漢字カード』&『漢字eブック』(カード教材・デジタル教材)
「何度も書かずに漢字を覚える」という斬新なスタイルで注目されている教材です。
漢字を構成する「部品」に着目しているのが特徴です。漢字一字をパーツに分解し、パーツを唱えながら覚えることで、書かなくても頭に定着させることができます。
カードは漢字一字ごとに表に部品の組み合わせ図、裏に読み方や意味が書かれており、楽しみながら部品と字形を一致させる練習ができます。
また電子版の「漢字eブック」では音声や写真・イラスト付きで漢字の成り立ちを学べるので、タブレットでゲーム感覚で学習できます。
『Oska Writing Lite』(アプリ教材)
書字障害(ディスレクシア)の子どもたちのために開発された、日本でも珍しい学習支援アプリです。
従来の「なぞり書きアプリ」とは異なり、漢字を構成する基本パーツの動きをアニメーションで視覚的に示してくれるのが特徴です。
一画ずつの動きを見てから書くことで、「どこから書けばいいのか分からない」といった困りごとを感じやすい子にも分かりやすく、自然に正しい書き順や形を学べます。
さらに、学び方のタイプに合わせて練習モードを切り替えられる点もユニークです。
全体を見て覚える子には漢字全体を見せるモード、順序立てて覚える子には一画ずつ表示されるモードなど、それぞれの得意な認知スタイルに寄り添った練習が可能です。
無料版では小学1年生の漢字から体験でき、iPhone・Androidの両方に対応。遊びながら自然に文字の構造や書き方を理解できる、発達支援や特別支援の現場でも注目のアプリです。
『小学生手書き漢字ドリル1026』(アプリ教材)
小学校で習う漢字1026字をすべて学べる定番の無料アプリです。画面上で指を使って漢字の形をなぞりながら練習でき、正しい書き順を示すアニメーションや音声読み上げ機能も搭載されています。
紙のノートのようにマスから字がはみ出しても消しゴムで消す必要がなく、何度でも書き直せるため、「書くのに時間がかかって疲れてしまう」という子どもにも使いやすい設計です。
さらに、漢字の読み問題も収録されており、学校の学習内容に沿って進められる点も安心です。指先で文字を書く操作は、視覚支援学校などでも用いられる「空書(くうしょ)」の練習にも通じており、運筆が苦手な子の手の動きをサポートします。
iPhone・Androidの両方に対応しており、親子で一緒に画面を見ながら「今の上手に書けたね」と声をかけ合うことで、モチベーションを高めながら楽しく学べる漢字学習アプリです。
おわりに
漢字の読み書きが苦手なお子さんには、それぞれ異なるつまずきの理由や、得意な学び方・苦手な学び方があります。
けれども、どんな子にもその子に合った方法が必ずあります。
大切なのは、焦らず見守りながら「できなかったこと」よりも「できたこと」に目を向けてあげること。
小さな成功を見つけて「ここまでできたね」「昨日より覚えられたね」と声をかけることで、お子さんは少しずつ自信を取り戻していきます。
また、他の子と比べるのではなく、その子のペースを大切にしましょう。
頑張った過程を認め、成長を一緒に喜び合うことで、学ぶことへの前向きな気持ちが育ちます。
大人の温かいまなざしと励ましがあれば、お子さんはきっと自分の力で少しずつ漢字の世界を広げていけるはずです。
笑顔で「できたよ!」と言える瞬間が増えていくことを、心から応援しています。




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