歯科医院や言語聴覚士、または他の支援者から発音指導として口の体操を勧められることが多いです。
人は声に出してことばを伝えるためには舌や唇などの動きはとても重要です。その舌の動きを動かすことを目的として口の体操を勧めるのでないでしょうか。
今回はそのような口の体操についてのお話。
口の体操はなぜやるの?!
適切な発音するための筋肉や位置を安定させる目的で実施してるかと思います。
適切な発音を獲得するには舌や唇などを動かす筋肉が必要です。
口の体操(動かし方)として耳にすることは「口周りの食べ物を舌でとってみよう」「アイスクリームを舌で舐めよう」「ラッパを吹こう」などの助言が多いかと思います。
これらは主に筋肉や動かし方などの向上を目的としています。
これ以外にも舌の正しい位置も非常に大切です。安静位(何もしていない状態)では舌は上前歯後側(スポット)が適切な位置です。
上記では筋肉を付けることが目的でしたが、筋肉の動かした方で力を入れる・力を抜くということを意識的に行うことも重要です。このことは実際に音として発する際に必要不可欠でその力加減の練習をすることが非常に多いです。
これらの詳細にはついて他のページをご覧ください
口の体操や発音指導で必要な能力
口の体操の最終目標は「滑舌を良くする」「聞き取りやすくする」などが挙げられます。しかし、発音の獲得順序やことばの発達面なども考慮する必要があります。
正しい発音に必要な力
聞き取り能力
言語理解能力
模倣能力
舌の運動能力
音韻意識能力
滑舌をよくするためには口の体操だけでは足りない
話すというのは舌を前に出したりすのではなく、声を出しながら細かな舌の動きを連続的に行う必要があります。
そのため口の体操だけでなく声に出しながら実際の音を導く練習を発音指導では多く実施していきます。
例えば「さ」という音をローマ字表記(※厳密には音声記号)にすると【sa】という表記になります。これを細かく分解すると【s】【a】に分解できます。【a】は母音の「あ」であるため発音は容易なため【s】という音を出せる練習を行っていきます。
【s】という音は舌を上前歯に当て、その間に空気を流す(摩擦音)ことによって【s】が作られます。そのため発音練習はこれらの動きの生成するための練習を行うため口の体操をするだけでは不十分となります。
もちろん口の体操をすることによって本人が無自覚に音を生成することも可能な場合もありますが、口の体操だけをすればいいのではないということを認識していただけたら幸いです。