赤ちゃんから大人まで遊び方は違えど、遊びというものは誰しもやってきていることであり、遊びを卒業するということは存在しません。働き始めると経済力が増し、それに伴って遊び方が豪勢になることもありますが、子どもも大人も遊ぶという行為は欠かせないものです。
今回紹介するものは、遊びという楽しいという気持ちをベースに考えて、子どもと一緒に関わる中で言葉の発達を育む方法について紹介します。それに加えて言葉の発達だけでなく、気持ちを落ち着かせるという効果についても併せてお伝えします。
今回はそのような遊びを通して言葉の育み方について紹介します。
遊びながら言葉を育む関わり方
具体的な関わり方について3つを挙げてみました(実際にはこれらを状況に応じて組み合わせます)。
下記においてこれらの3つの関わり方についてをお伝えしますが、よりわかりやすいように人形遊びを例として示しながら記します。
具体的な場面として、子どもが1つの人形とおままごと(食べ物)であそんでいます。そこに大人も一緒に混じるという設定で進めていきます。
遊んでいる場面で一緒に関わりながら言語化
子どもと一緒に遊びながら、子どもの動きを言語化してあげます。
例えば子どもが人形にりんごを食べさせる場面において「りんご食べさせてあげるね」などの声掛けをしましょう。
「りんご」のように単語でお話する子どもであれば「りんご食べようね」などの2語文で言語化。「りんご食べてね」のような2語文でお話する子どもであれば「赤いりんごたべようね」などの3語文で言語化するように現在の発話+1つの言葉を付け足した言語化がポイントです。
言葉を発することが苦手な子どもであれば、「りんご」「あむあむ」のような単語やオノマトペ、ジェスチャーを交えながら言語化してみましょう。
遊んでいる場面のみを伝える
一緒に関わりながら言語化では正しい言葉をお手本で伝えていましたが、こちらは実際の状況についてお伝えしていきます。
例えば子どもが人形にりんごを食べさせる場面であれば「それをそこに動かすのね」のように代名詞を使って場面を伝えていきましょう。
その理由としてこの方法は言語面だけでなく、子どもの創造性を尊重した形で伝えることも兼ねています。
りんごを食べさせる場面ですが、もしかしたら「りんごの匂いを嗅ぐ」という遊びをしている可能性も考えられます。本当は「りんごの匂いを嗅ぐ」という意味なのに大人側が「りんご食べてね」と伝えることは子どもの意に反する声掛けとなってしまいます。
もしこのように意に反する声掛けをしてしまうと子どもの創造する機会を奪ってしまうことに繋がるため注意が必要です。
このように遊んでいる場面を伝えるということによって主体的により遊ぶことができ、自由自在に遊ぶことによって創造する機会を作ることや気持ちを落ち着かせるという効果も期待できるのではないでしょうか。
※子どもからの言葉や目を向けることなどのコミュニケーションを観察して進めましょう。
遊んでいる場面を見守る
こちらは大人側からの声掛けは積極的には行わず、遊んでいる場面を静かに見守ります。しかし、子どもからの誘い掛ける言葉があったら応じていきます。
こちらの関わりは大人に対してどのような反応を示すか、どのような感情で、どのような働きかけを大人に期待しているか見極めていきます。
これらを見極めることができたら、それに対して言語化するなどの関わり方へ移行していきます。
組み合わせながら関わる
上記でお伝えした関わり方を常に行うというより、状況に応じて変えながら子どもと一緒に遊びます。
(目標が明確な場合は常に同じ関わり方をする場合もあります。)
どの関わりでも重要なことが子どもの反応をしっかりと見ることです。大人側が一方的に伝えることや、子どもと全く関わらないといったことは子どもとのコミュニケーションは成立しません。
そして子どもが遊び方がわからず困惑している様子があったら、人形やおままごとを実際に動かして遊び方を示すことも大人の役割として必要なことです。
そのため上記のような遊び場面の関わり方について念頭に入れながら、子どもの反応に応じて組み合わせていきましょう。
遊びの魅力〜どのような効果がある?
上記でお伝えした方法を用いることで下記のような効果があると考えます。
①言葉の使い方を覚える
遊びという自然的なやりとり場面で言葉を学ぶことができます。言葉の学習はあらゆる場面において進められます。時には絵カードなどを用いながら進めることもありますが、遊びであれば子どもにとって楽しいというプラスの気持ちで進めることができます。
②子どもの考えを表現する
例として人形遊びを示しましたが、人形の種類やおままごとの内容を子どもに選んでもらうことやそれらを使ってどのように組み合わせて遊ぶのか、その子の考えをそのまま遊びに反映させる形となります。中にはそれぞれ遊具で遊びながら作品を作るようなこともあります。その作品のようなものから子どもが現在どのように感じているかを考えることも大人の役割として大切です。
普段の生活の中では時間を掛けながらじっくりと考えを表現することは難しいですが、遊びの時間を用いて子どもたちの創造する力を引き出すこともできます。
③心を落ち着かせる
ここでの遊びというのは自分の考えを表現することで誰からも否定されることはなく、ありのままの遊びを楽しみます。時には大人が考えたことのない遊び方をすることもありますが、子どもの遊びを最大限尊重します。子どもたちの環境には「~してはいけない」という制限を掛けられることが多いですが、制限の少ない自由な遊びにより、普段では表現できない気持ちを引き出すことができます。これは遊んでいる時間だけ心が落ち着くのでなく、家に帰った(外で遊んだ場合など)後も続くことが多く、落ち着いた生活を送ることにも繋がると考えます。
これは大人もストレスが溜まった時は美味しいものを食べたり、映画を観たりリラックスを図るかと思いますが、その場面だけでなく、食事後や映画を観終わったときに気持ちが楽になることと同じです。
もし仮に子どもの遊びについて止めたい場合は注意点でお伝えします。
一緒に遊びを楽しむ時の注意点
意欲を引き立てるたてるため、発達レベルに合わせたおもちゃを用意しましょう。また子ども中心的な遊びですが、時には遊びを制限しなければならない時もあるかと思います。そのため、どのような遊びで制限するか予め考えましょう。遊びの目的も言語面中心でいくか、気持ちを落ち着かせることを目的とするかをはっきりと決めなければ、関わり方が大きく変わってしまいます。子どもとの遊びを最大限に楽しみつつ、かつ注意すべきことも念頭に入れながら進めていきましょう。
まとめ
今回は遊びを通して言葉を育むことや気持ちを整えることに焦点をおいて話しを進めました。これ以外にも様々な遊び場面での関わりがありますが、忘れてならいなことは遊びは楽しいということです。この楽しいという気持ちこそが言葉を最大限に引き出すことに繋がるため、それを忘れずに子どもたちとの関わる時間を作ってみてはいかがでしょうか。