
MSPAって何を知るものなの?
Multi-dimensional Scale for PDD and ADHD の頭文字を取ってMSPAと呼ばれています。
MSPAは2016年より病院などの医療保険が適用されるようになった検査です。
検査と言っても子どもと一対一で直接関わりながら評価を行う訳でなく、保護者や園の先生から子どもの様子を聞き取って評価を行っていきます。
比較的新しい検査であることやMSPA使用には京都国際社会福祉センター実施の講習会の受講が原則となっているため、他の検査と比べて知名度や使用頻度が少ないです。
MSPAをすると何がわかるの?
MSPAはIQ(知能指数)などを求めるのでなく、レーダーチャートで示して視覚的に子どもの特性について理解することが出来ます。
昨今では早期療育が謳われていますが、実際の支援を受けるにはまだまだ時間を要する事が多いです。
支援を受けるには診断が求められることも少なくはありません。診断を受けるには医療機関受診が必要ですが、待期期間が長く早急に受診することが難しい自治体もあります。
MSPAは診断がついてから支援の開始ではなく、より早期に子どもの特性を理解し早期に支援を開始出来ることを狙いとしています。
早期の支援開始だけでなく園や事業所の支援者に対しても特性をチャート図で示し、始めから子どもの特性や困り感を理解した上で支援を進めることが可能です。
なおMSPAの取り扱いに関しては講習会の受講が必須となっています。
詳細は京都国際社会福祉センターHPをご確認ください。
どのような特性を見ていくのか

MSPAでは特性を大きく14個の特性に分類しています。
例えば、こだわりやコミュニケーションなどの特性を見ていきます。
自閉症やADHDなどの各特性について数多くのポイントを見ることが出来ます。
そして14個の特性をを9段階評価をしてレーダーチャートとしてまとめていきます。
特性の全体像をチャートで見ることが出来るので文字数が少なく図形を見るようなイメージで簡単に見やすくなります。
MSPAをやってみて【検査者の立場】
私が発達支援の仕事をしている中で、MSPAを複数の子ども(保護者)と行いました。
MSPAはたくさんの質問項目がありますが、質問項目から「子どもをみる視点ってこんなにあるのか」と私自身学ぶことができます。
そして保育園や幼稚園など他施設にレーダーチャートを見てもらうと「わかりやすい!」「こんな特性があるのか」と理解してもらいやすいです。
子どもが園に通う前などのまだ直接会ったことがない園に対しても前情報としてわかりやすく理解し環境設定などの準備がスムーズに行うこともできます。
子どもと関わっている期間が長く特性について理解力しているつもりでも、MSPAをとることにより細やかな特性について理解し考えることができとても重宝しています。
MSPAをやってみて【保護者の立場】
一番よく言われることは
見やすい
わかりやすい
と話されることが大半です。
発達検査なの情報提供書は専門用語が多かったり、長文が並んでいて読みにくいと感じる人も多いです。
その点MSPAはレーダーチャートで示すので圧倒的に理解しやすいです。
実際のお子さんの具体的な支援などは行動観察や直接関わってアセスメントをする必要もありますが、素早く支援をつなげるための手段として有効活用されてほしいと感じます。
また園や学校の先生等の支援者に対して特性理解に努めることも可能ではないでしょうか
まとめ
MSPAは子どもの支援を第一優先として作られたものであり、検査者からの質問に回答する検査です。
医療機関のニーズとして開発されたものですが、福祉・教育機関においてMSPAはとても重宝されます。
どの検査も結果的には子どもの支援に結びつくものですが、保育園・幼稚園や学校などの関係機関との連携を目的とした検査はMSPAが候補として挙げられます。
しかし、現状としてMSPAを扱っている機関が他の知能検査・発達検査と比べると少なくMSPAを周知する必要性があるため積極的に取り入れる機関が増えることを祈っています。