「この後、どうなると思う?」 お子さんにそう問いかけても、「わからない」と黙り込んでしまったり、状況と全く異なる答えが返ってきたりして戸惑ってしまう経験はありませんか。
お子さんは、目の前の状況から「次を予測する」ための情報の受け取り方や処理の仕方がまだ発達過程であることが多いです。
この記事では、状況理解や見通しを立てるのが苦手なお子さんの「なぜ?」という理由から、その子に合ったサポート方法、そしてご家庭で楽しく実践できる工夫についてお話していきます。
「このあとどうなる?」の状況理解が苦手な理由

お子さんが「この後どうなるか」を想像するのが難しい背景には、主に3つの特性が関係しています。
■頭の中で複数の情報を処理するのが苦手(ワーキングメモリの弱さ)
「今目の前で起きていること」と「過去の似たような経験」を頭の中で同時に思い浮かべ、「だからこうなるはずだ」と結びつけるには、脳のワーキングメモリ(作業記憶)という力を使います。このメモリの容量が小さいと、情報を保持して予測を立てるのが難しくなります。
■全体よりも「一部」にばかり注目してしまう(中心統合の弱さ)
その場の「全体の空気感」や「前後の文脈」よりも、自分の興味がある一部の出来事に強く注意が向いてしまう特性です。
例えば、絵カードを見せても「全体の状況」ではなく、「端っこに描かれている小さな動物」や「特定の模様」ばかりを見てしまい、ストーリーが掴めないことがあります。
■目に見えない「相手の気持ち」を推測するのが難しい
人の表情や声のトーン、視線などから「この人は怒っているな」「次はこう動くつもりだな」といった目に見えない情報を読み取るのが苦手な場合もあります。結果として、相手の意図を汲み取れず、状況に合わない行動をとってしまいます。
状況理解が少しでもできるようになるために

音声だけでの会話では子どもにとって不可が掛かり、発話意欲を削ぐ可能性もあります。
大切なのは、情報をわかりやすく「見える化(視覚化)」してあげることです。
■白黒の線画イラストやプリント教材を使った視覚化
複雑なカラー写真よりも、情報が整理されたシンプルな線画イラストを使うのが効果的です。たとえば、4コマ漫画の最後(オチ)だけが空欄になっている無料のプリント教材などを活用し、「原因」と「結果」を視覚的につなぐ練習をすると、状況がスッと頭に入りやすくなります。
■「Aかな?Bかな?」の2択からスタート
いきなり「どうなると思う?」とゼロから答えさせるのではなく、「コップが倒れたら、お水はこぼれるかな?それともそのままかな?」と、2つの選択肢を用意してあげましょう。選ぶだけなら心理的な負担が減り、考えるきっかけを作りやすくなります。
■ソーシャルスキルトレーニング(SST)で疑似体験
「お友達におもちゃを貸してと言われたとき」など、よくある場面を設定して、一緒にどう対応するかを練習(ロールプレイ)します。失敗しても大丈夫な安全な環境で、「こうすればうまくいく」というパターンを学ぶことが自信に繋がります。
家庭でも手軽にできるお話の理解力を向上する方法

特別な訓練の時間を設けなくても、毎日の生活や遊びの中で「予測する力」は少しずつ育てることができます。
■絵本の読み聞かせで「ストップ&予測」
絵本を読んでいる途中でページをめくる手を止め、「次は何が出てくるかな?」とクイズを出してみましょう。その内容についてはどのような回答でも大丈夫です。「自分で想像してみる」という経験そのものが、見通しを立てる力のトレーニングになります。
■お手伝いの中で「次は何だっけ?」
お料理などの手順が決まっているお手伝いを一緒にしながら、「お肉を炒めたね。次は何を入れるんだっけ?」と問いかけてみてください。生活の流れの中で、自然と「次のステップ」を意識する習慣がつきます。
■失敗したときの「気持ちの整理」をサポート
状況が読めずに失敗してパニックになったり落ち込んだりした時は、叱るのではなく「次はどうしようか」と一緒に考えるチャンスです。
頭の中が混乱している時は、今の気持ちを紙に書き出したり、心と客観的に向き合う練習を並行して行うと、お子さんも安心できます。
まとめ
「この後どうなるか」を理解する力は、一朝一夕で身につくものではありません。
大切なのは、お子さんが今どの部分でつまずいているのか(情報が多すぎるのか、記憶を留めるのが苦手なのか)を理解し、その子に合った「わかりやすい方法」で伝えてあげることです。
シンプルなイラストプリントを使ったり、日々の生活で「次どうなるかな?」とクイズを出したりと、ご家庭でできる小さな工夫の積み重ねが、お子さんの「わかった!」という成功体験に繋がります。
焦らず、お子さんのペースに合わせて、できた時には「よく気がついたね!」とたくさん褒めましょう。