こんにちはコトノハ教室です。
私たちの見ているものは何かしらの名前が付けられています。
例えば家の中にあるテレビやコップ。
外に出てみれば車や犬など。
周囲の物を見れば馴染みのある物、ない物の違いはあれど大半の人がそれらの物の名前を知っているかと思います。
身近にある物はどのような法則で名前をつけているのでしょうか。
私は名前の付け方のような法則を知っている訳ではありませんが、実際のことばとそれに当てはまることば(音声など)の関係性を恣意性・有縁性ということばで説明することが出来ます。
このことばは普段生活していく中で意識しなくても良いことですが、ことばのレッスンを進める際にはことばの選び方の手がかりとなるため、今回はこれらについて取り上げていきます。
恣意(しい)性とはどういうこと?
聞いたことのないことばかと思いますが、恣意性という意味は
ことばが示すものとそれを示す記号(音声など)の間には必然的な結びつきはないこと
例えば犬という動物がいます。
犬という実際の動物に対して、その動物は[inu]という音声によって表現されます。
ではその動物はなぜ[inu]という名前が付けられたのでしょうか?
この疑問に対して、〜という理由のため[inu]という名前である。と答えられる人はいないかと思います。
例えとして犬をあげましたが、りんごという果物でも椅子という日常道具でも同様です。
このようにことばが示すもの(例:犬)に対してそれを示す記号(例:[inu])には関係性が無く物に対して名前が付けられているということがことばの恣意性です。
有縁(うえん)性とはどういうこと?
恣意性とは逆に、物や行動から名前を付けられたものがこれに該当します。
どのような物がこれに該当するのかと言うとオノマトペと呼ばれるものがこれに当てはまります。
オノマトペは子どもにとって聞き取りやすく話しやすいことばとして度々登場してきます。
状況や動作などの様子を音声として表現したものがオノマトペです。
鳴き声もオノマトペの一つとして扱われ、例えば犬の鳴き声はどのようなものでしょうか。
おそらく「わんわん」ということばを思い浮かべるのではないでしょうか。
この「わんわん」ということばこそが有縁性のあることばです。
実際の犬という動物から発せられる音がそのままことば(音声)として用いられています。
[inu]という音声恣意性のあることばですが、[wanwan]という音声は有縁性のあることばということになります。
鳴き声以外に動作語としてのオノマトペは
歯を磨く→「しゃかしゃか」
飲む→「ごくごく」
のようなことばが当てはまります。
このように状況や動作、物と実際のことば(音声など)には関係性があることを有縁性と言います。
ことばのレッスン時におけることばの選び方
ことばには恣意性と有縁性と呼ばれるものがあるとお話ししてきましたが、ことばのレッスンで使うことばはどのようなものが良いのでしょうか。
これらの話から想像出来た人もいるかもしれませんが、有縁性のあることばからレッスンを進めていくとスムーズなことばの獲得に繋がりやすいです。
物や動作に対する音声の間に意味的な繋がりがあると理解が進みやすいです。
上の例では犬に対するオノマトペ(鳴き声)はとても理解しやすいです。
犬は自ら「わんわん」と鳴いて表現してくれます。子どもにとって犬は、犬から発せられる音声は「わんわん」。
大人からオノマトペで伝えられる音声は「わんわん」どちらも同じ音声なため理解の熟達が早いです。
一方、成人語と呼ばれる犬の音声は「いぬ」です。
子どもの目線から考えていくと「犬からは「わんわん」と聞こえてくるのに、どうして大人からは「いぬ」という音が聞こえてくるの?」という疑問に感じるのではないのでしょうか。
双方とも違う音を発すると、子ども自身正しい音を認識することに苦労を強いてしまいます。
このように実際の物や動作などから発せられる音と大人から言われる音が同じ方が子どもにとってわかりやすいです。
ことばのレッスンや声かけなどでオノマトペを用いると良いと言われるのはここでの話のように有縁性が関係してくるからではないでしょうか。
まとめ
恣意性と有縁性。どちらも馴染みのないことばかと思います。
日常生活を送る上で何ら意識していないことかと思いますが、ことばのレッスンを進める際には覚えておきたいことばです。
双方のことばというよりその内容がとても大切です。
ある物には一体どのような音声で呼ばれている?物と音声の間にはどのような結びつきがある?オノマトペはどうして大事?
これらの答えを恣意性と有縁性ということばを用いて今回はお話しました。
