ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?〜SSTのやり方や教え方など進め方を中心にお伝えします〜

ソーシャルスキルトレーニング(以下SST)は友達との関わり方や学校など集団生活での困り感を減らすことを目的としたトレーニングです。

SSTは幼児の子どもから小学校へ入学した子ども、社会人など幅広い年齢の人たちに使われるます。今回はそのようなSSTの進め方や注意点についてお話していきます。

SSTとは

SSTはSocial Skills Traningの頭文字をまとめたもので社会性という部分に焦点を当てたトレーニングです。

社会性は交友関係や集団生活などのことをいい、それらについて何らかの困り感のある子どもたちのためのものです。

どのような困り感があるのかというと具体的には以下のようなものがあります。

社会性の困り

・友達との会話で一方的に話してしまう
・友達を叩いてしまう
・みんなのいる前でも常に話してしまう

上記はあくまで例であって他にも様々な困りを抱えています。SSTを通して少しでも困り感を減らして自分も相手も上手なコミュニケーションが進められることがSSTの狙いでもあります。

SSTの内容・進め方

SSTの進め方は主にプリント学習とロールプレイの2つが多いかと思います。しかし、それらのみで社会性を身に付けることは難しく、学習した内容を実践しなければなりません。実践して正しい行動ができたのかどうかフィードバックをするということが非常に重要です。
SSTとしてプリント学習やロールプレイなど実施することが多いですが、フィードバック時間を設けていることが非常に少ないです。プリント学習やロールプレイなどでは正しく答えることが出来るけど、実際の場面では実践が難しいということが多々あります。そのためSSTの時間では振り返りの時間も必ず設定し、どうやった次はできそうか。それが難しいのであれば他にどのような手段や行動があるかを考えなれば支援者側の自己満足で終わって終了してしまうので注意してください。(注意喚起のため、SSTの注意点でも再度お伝えします。)

プリントを用いたSST

プリント学習では実際の場面について考える問題について「どうしたらいいか」などの適切な答えを書き入れるタイプのものが多いかと思います。コトノハ教室で作成しているプリントもこのような内容が多いです。(SSTプリントはこちら

例えば下記のような問題があります。

SSTプリントの問題例

イラストを見て問題に答えましょう(イラスト:おもちゃを取り合っている)

Q1.どのようなことが起きているでしょうか?
→男の子と女の子がおもちゃを取り合っている

Q2.どうしたらいいでしょうか?
→二人で遊ぶ、大人を呼ぶ

Q3.次からはどうしたらいい?
→おもちゃを使う順番を決める、ルールを決める

このような問題を通して、どのような対応をしたらよいか学ぶことができます。

ロールプレイを用いたSST

指導者側同士や指導者と子どもが実際の場面を実演してみて、どのような行動がいいかを考えていきます。

実際の場面のビデオを見てもらって考えることもよく用いられているかと思います。

例えば下記のようなシチュエーションで考えてみます。

ロールプレイの問題例

テーマ:おもちゃを取り合ている
方法1:指導者1人が2人の友達が取り合っている場面を演じてそれを見てもらう。
方法2指導者2人がおもちゃを取り合っている場面を演じてそれを見てもらう。
方法3;指導者と子どもの2人がその場面を演じる。

・演じた場面を見たり、指導者と演じた結果、「どのように思ったか」「どうしたらいいか」について考える

プリントの質問内容と重複するテーマで練習することやビデオや紙芝居のような形式で進めることもあります。

SSTの注意点

SSTは社会生活場面を考えるため様々な方法で取り組まれていますが、いずれの方法でも共通した懸念点があります。

それは

注意点(懸念点)

プリント学習やロールプレイでは適切な回答ができるが、実際の場面ではできない

上記のようなことがSSTに取り組んでも見られます。

プリント学習やロールプレイを実施している時間はあくまで指導者がいる状況で進められるため、実際の人や想定される場所が異なります。

そのため上記のSSTの内容にプラスして意識して行うことがあります。

それは実際に適切な行動ができたか振り返ることです。

SSTを繰り返し実施する際は、学習の始めに実際に適切な行動ができたか確認をするようにしましょう。

出来なかったとしても、「なぜできなかったのか」「どうしたらよかったのか」これを振り返りながら進めていくことが実際の社会場面の中で活かすことができます。

そのためプリント学習やロールプレイを実施するだけでなく、必ず実生活場面と照らし合わせて進めることがSSTとしての効果を最大限に発揮できるのではないでしょうか。

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