【Q&A】吃音とチックの関連性はありますか?家庭でできるサポートと専門的なアプローチ

「うちの子、言葉がつっかえる(吃音)だけでなく、最近まばたきや咳払い(チック)も増えた気がする…」

このような感じたことはありませんか。

結論からお伝えすると、吃音(きつおん)とチックには深い関連性があり、同時に現れることは決して珍しくありません。

そして、どちらも「育て方」や「本人の性格」が原因ではなく、脳の発達過程で起こる自然な現象です。

今回は、吃音とチックの関係性や、ご家庭で今日からできるサポート、そして年齢が上がってから取り入れたい専門的なアプローチについてのお話です。

吃音とチックの関連性

吃音(言葉がスムーズに出ない)とチック(無意識に体の一部が動く、声が出る)は、一見違う症状に見えますが、実は根底にあるメカニズムに共通点があります。

脳の運動コントロール機能の類似性

最新の脳科学研究により、吃音もチックも「大脳基底核(だいのうきていかく)」という、体の運動をコントロールする脳の回路の働きが関係していることが分かっています。

言葉を話すための筋肉を動かすのも、瞬きや肩すくめなどの筋肉の動きも、実はこの同じ回路が指令を出しています。

併存率(同時に起こる割合)の高さ

国内外の研究データにおいて、吃音のある子どもにチック症状や他の神経発達症(ADHDなど)が併存することが報告されています。これは、吃音のない子どもに比べて明らかに高い数値です。

症状の出方の共通点

どちらの症状にも、以下のような共通した特徴があります。

■わざとやっているわけではない(不随意)
■「疲れている時」「緊張している時」「すごく興奮して楽しい時」に症状が増えやすい
■数週間〜数ヶ月単位で症状が良くなったり悪くなったりする「波(変動)」がある

吃音の「随伴運動」とチックの区別の難しさ

吃音には、言葉がつまるときに「まばたきをする」「顔をしかめる」「足でリズムをとる」「首を振る」といった不随意運動(自分の意思とは無関係に体が動くこと)を伴うことがよくあります。

これを専門用語で「随伴運動(ずいはんうんどう)」と呼びます。

言葉をなんとか出そうと力が入るうちに、無意識の癖になってしまうものです。

この随伴運動の見た目がチックと非常に似ているため、「これは吃音の症状?それともチック?」と専門家でも区別が難しいケースが多々あります。

「吃音が減るとチックが目立つ」のは本当?

臨床の現場では、「吃音が落ち着いてきたと思ったら、今度はチックが目立つようになった(あるいはその逆)」ということは多く目にします。実は、これは全く珍しいことではありません。

吃音とチックは同じ脳の回路が関与しているため、片方の症状が治まっている時期に、もう片方の症状が強く出るといった「シーソーのような現象」が起きることがあります。

また、無意識のうちに吃音を出さないように(あるいはチックを出さないように)子ども自身がエネルギーを使っている結果、もう一方の症状として緊張が表に現れるとも考えられています。

まずは「環境調整」!家庭でできる5つのサポート

幼児期や症状の出始めの時期に一番大切なのは、無理に症状を治そうとすることではなく、子どもが安心できる環境を整える「環境調整」です。

ご家庭でのリラックスした関わりが、何よりの特効薬になります。

■指摘しない・言い直しをさせない
「落ち着いて言ってごらん」「チックやめなさい」という声かけは、本人にプレッシャーを与え、脳の緊張を高めて逆効果になります。気づかないふりをして自然に接しましょう。

■「話し方」ではなく「話の内容」に注目する
言葉がつっかえたり、チックが出たりしても、大人は視線を外さず、笑顔で最後まで本人の話を聞いてください。
「どう話したか」ではなく、「何を伝えたかったか」に相槌を打つことで、子どもは安心します。

■大人が「ゆったりとしたペース」で話す
子どもに要求するのではなく、周囲の大人が普段より少しゆっくり、間(ま)をたっぷり取って話すようにしてみてください。
大人のゆったりしたリズムは、鏡のように子どもに伝わります。

■生活リズムを整え、リラックスタイムを作る
睡眠不足や疲労は症状を不安定にします。十分な睡眠をとり、お風呂上がりなどに親子でゆったり絵本を読むなど、脳が休まる時間を作りましょう。

■「話すこと」以外の楽しみ・得意を伸ばす
お絵かき、工作、運動など、言葉を使わなくても達成感を得られる遊びをたくさん取り入れ、「できていること」を具体的にたくさん褒めてあげてください。自己肯定感を守ることが最も重要です。

    症状を直接コントロールするアプローチ(学童期以降〜)

    環境調整を土台とした上で、年齢が上がり(主に小学生以降)、本人が「自分でコントロールしたい」「もっと楽に話したい」という気持ち(レディネス)が育ってきたら、専門家の元で直接的なアプローチを取り入れていくことも検討していきます。

    吃音に対するアプローチ

    単に「流暢に話す(どもらない)」ことだけをゴールにするのではなく、「どもっても楽に話せる」「話す場面を回避しない」ことを目指します。

    ■リッカムプログラム
    滑らかに話せた時に具体的に褒め、流暢な発話を定着させていく保護者主導のプログラム。

    ■吃音緩和法 / 流暢性形成法
    言葉が出にくい時に、力まずにフワッと引き伸ばして言うなど、より「楽な話し方」の技術を身につけます。

    ■認知行動療法(CBT)
    「どもってはいけない」という不安や恐怖心にアプローチします。自分の価値に向かって行動するための心理的サポートです。

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    チックに対するアプローチ

    かつては薬物療法が中心でしたが、現在は行動療法によるアプローチのエビデンスが確立されています。

    ■CBIT(チックのための包括的行動的介入)
    チックが出る直前の「ムズムズする感覚(前駆衝動)」に気づき、チックが出そうになったら「チックと同時にできない別の動作(肩をグッと下げるなど)」を意図的に行い、衝動が通り過ぎるのを待つ技能(ハビットリバーサル)などを身につけます。

    (ここに関しては私自身、アプローチしたことがありません)

    まとめ

    吃音もチックも、症状には必ず「波」があります。

    片方が良くなれば片方が目立つこともあり、良くなったり悪くなったりを繰り返すものなので、一喜一憂しすぎず、焦らずに長い目で見守ることが大切です。

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