「ワンワン!」「ブーブー、きた!」 お子さんが物の名前(名詞)をたくさん言えるようになってくると、成長を感じてとても嬉しいですよね。
でも、そこからさらに言葉を豊かにしていくために、次に意識してあげたいのが「形容詞(けいようし)」です。形容詞とは、「大きい」「甘い」「痛い」「嬉しい」など、物の状態や自分の気持ちを表す言葉のこと。
実は、幼児期の言葉の発達において、この「形容詞」を獲得することは、単におしゃべりが上手になる以上のものすごく重要な意味を持っています。
今回は、言語発達の観点から「なぜ幼児期に形容詞が大切なのか」そして「家庭でできる形容詞の増やし方のコツ」をわかりやすく解説します。
幼児期の言葉の発達で「形容詞」が超重要な3つの理由
子どもが形容詞を使えるようになると、発達において次のような大きな変化が起こります。
自分の気持ちや状況を正確に伝えられ、癇癪(かんしゃく)が減る
「リンゴ!」だけでは、リンゴを「食べたい」のか、「落として悲しい」のか、「すっぱくて嫌だ」のか分かりません。
「すっぱい!」「おいしい!」という形容詞が使えるようになると、子どもは自分の欲求や不快感を正確に大人に伝えられるようになります。「伝わらないイライラ」が減るため、結果としてイヤイヤ期の癇癪を減らすことにもつながってきます。
「考える力(認知力)」がグンと育つ
形容詞を理解することは、物事を「比較」し「分類」する力が育っている証拠です。
例えば、「大きい犬」と「小さい犬」を見たとき、子どもは頭の中でサイズを比較しています。形容詞を覚えるプロセスは、そのまま「世界をどう認識するか」という脳のトレーニングにもなっています。
2語文・3語文へのステップアップになる
「ブーブー」という1語から、「はやい ブーブー(2語文)」「はやい ブーブー きた(3語文)」へと文を長くしていくとき、形容詞はとても便利な接着剤になります。名詞(名前)のストックだけでなく、形容詞のストックが増えることで、表現のバリエーションが爆発的に広がります。

家庭で今日からできる!形容詞を増やす「言葉がけ」のコツ
では、毎日の生活の中でどうやって形容詞を教えてあげればよいのでしょうか?
特別な教材は必要ありません。以下の3つのコツを意識してみてはどうでしょうか
「名詞+形容詞」をセットにして実況中継する
子どもが興味を持ったものに対して、大人が形容詞を付け足して返してあげましょう。
- 子:「ワンワン!」
- 親:「ほんとだ、大きいワンワンだね」
- 子:「ジュース!」
- 親:「冷たいジュース、おいしいね」
五感を使った体験を言葉にする
形容詞は、実際に肌で感じたときが一番覚えやすいです。お風呂や食事、公園遊びは絶好のチャンスです。
| 体験のシーン | かけたい形容詞の例 |
| お風呂に入る時 | 「あたたかいね」「冷たいね」 |
| 食事の時 | 「甘いね」「やわらかいね」「熱いよ」 |
| 公園で遊ぶ時 | 「砂がザラザラだね」「葉っぱが赤いね」 |
「反対の言葉(対義語)」を一緒に見せる
形容詞は「対(ペア)」で教えると、より概念が理解しやすくなります。
「ぞうさんは大きいね。ありさんは小さいね」「こっちのタオルは乾いているけど、こっちのタオルは濡れているね」など、両方を比較しながら見せてあげるのが効果的です。

形容詞は子どもの「心と世界」をつなぐ架け橋
名詞が「世界の名前」を知るための言葉だとしたら、形容詞は「世界をどう感じているか」を表現するための言葉です。
「痛い」「悲しい」「楽しい」「綺麗」。
これらを言葉で伝えあえるようになると、親子のコミュニケーションはもっともっと楽しく、深いものになっていきます。
焦る必要はまったくありません。まずは大人が「おいしいね」「あたたかいね」と、日々の生活の心地よさを自然な会話の中で取り入れてみてください。