子どもたちは毎日いろいろな気持ちを経験します。
楽しいとき、イライラするとき、少しドキドキして落ち着かないとき…。
大人から見れば些細なことでも、子どもにとっては心が大きく揺れる場面です。
こうした気持ちを整理し、自分で「今どんな状態か」に気づけるようになることは、学びや生活に欠かせません。
そこで注目したいものは「ゾーン・オブ・レギュレーション(Zones of Regulation)」です。
これは感情やエネルギーの状態を4つの色(青・緑・黄・赤)に分けて考えます。
この方法を使うと、子どもたちが自分の気持ちを整理しやすくなり、先生や保護者もサポートしやすくなります
4つのゾーンとは?
■青ゾーン:元気がなく、落ち込んだり疲れたりしているとき。
■緑ゾーン:落ち着いていて、学びにちょうどよいとき。
■黄ゾーン:少し気持ちが高ぶり、そわそわ・イライラ・不安が出ているとき。
■赤ゾーン:感情が爆発してしまい、怒ったりパニックになったりしているとき。
どのゾーンも「良い」「悪い」ではなく、自然に起こる人間の状態です。
大事なのは、自分がどのゾーンにいるのかに気づき、必要なら調整できることです。
学校での実践例
朝の会でのチェック
教室にゾーンのポスターを貼っておき、朝の会で「今日はどのゾーンかな?」と子どもに聞いてみます。
指差しやカードで答えるだけでも十分です。
先生は子どもの状態を把握でき、支援のきっかけになります。
授業中のサイン
「イライラしてきた」「そわそわする」など、黄や赤に入りかけたとき、机の上に小さなカードを置くルールを作ると、先生が早めに気づけます。
席を立って深呼吸したり、水を飲んだり、ちょっと休憩するなどの「クールダウン方法」をあらかじめ決めておくと効果的です。
特別支援の場面
発達障害のある子は感情の切り替えが難しいことがあります。
ゾーンを使って「今どの色かな?」と視覚的に示すと、自分の気持ちを言葉にする前の手がかりになります。
教師や支援員は「じゃあ緑に戻るにはどうしようか?」と問いかけ、一緒に対策を考えることができます。
家庭での活用
日常会話に取り入れる
「今日は青ゾーンかな?疲れているみたいね」など、保護者がゾーンの言葉を使うことで、子どもが気持ちを言語化しやすくなります。「赤ゾーンになっちゃったね。でも大丈夫、深呼吸で戻せるよ」と伝えると、安心感も生まれます。
プリントを活用する
A4用紙を4分割して「自分のサイン」を書き込むプリントを作ると、子どもが自分だけの手がかりを整理できます。
■青ゾーン:ねむい、声が小さい
■緑ゾーン:わらっている、集中できる
■黄ゾーン:手がふるえる、落ち着かない
■赤ゾーン:大声を出す、泣き叫ぶ
このように本人が書いたり絵で描いたりすると、より実感を持って活用できます。
家族で「戻し方」を考える
ゾーンは「状態を認識する」だけでなく、「どう戻すか」も大事です。青から緑に戻るために「お昼寝をする」「お気に入りの音楽を聞く」など、自分に合った方法をリスト化しておくと安心です。
支援のポイント
■決めつけない
「赤ゾーン=悪いこと」とせず、あくまで状態のひとつとして受け止めます。
■個別性を大事に
同じゾーンでも出るサインは子どもによって違います。本人と一緒に探すことが重要です。
■安全に表現する練習をする
怒りを暴力で出すのではなく、「カードを出す」「先生に合図する」といった安全な方法を教えます。
■大人も一緒に使う
先生や保護者も「今ちょっと黄ゾーンかも」と言葉にすることで、子どもがまねしやすくなります。
まとめ
ゾーン・オブ・レギュレーションは、感情の自己調整を支えるシンプルでわかりやすいツールです。
学校でも家庭でも、子どもが自分の状態を理解しやすくなり、大人も支援しやすくなります。
プリントやカードなど具体的なツールを取り入れると、さらに実践的に使えます。
「今どのゾーン?」と問いかけ合える関係は、子どもにとって安心できる環境づくりにもつながります。
感情を「整理し、言葉にして、調整する」力を育てることは、学びや生活の土台になる大切なステップです。
