3歳以上になってくるとことばでのやりとりが出来るようになり、遊んだ場所やお友達の名前などを少しずつ子どもからお話出来るようになります。
そして5歳になると就学にむけて文字の読み書きや表現力が豊かになっていきます。
今回は4歳以降のことばの発達で大切なポイントをお話します。
状況説明力

状況説明力ってなんだか難しそう
言葉を覚えたての子どもたちは目の前のおもちゃや動物など知っていることを表現してくれます。
例えば「保育園でなにしたの?」という質問を家庭ですることが多いですが、2歳頃のお子さんははっきりと答えることはまだ出来ません。
この質問には「保育園/なに/した(する)/」という自立語が存在します。これら3つのことばの意味を知らなければ質問を理解することが出来ません。
さらにことばの意味だけでなく、「何をした?」という過去の出来事についても覚えなければなりません。過去のことを記憶してそれを表現するということは難しいことです。
何歳くらいからお話が上手にあるんだろう?

現前事象・非現前事象
3歳には目の前で起きた出来事や状況を説明出来るようになります(現前事象)。
この経験を積むことによって4歳以降では過去の出来事など目の前以外(非現前事象)のことについてお話し出来るようになります。
非現前事象の学習を進めるときは始めにその関連した内容を話題にすることやイラスト等を通じて話を広げるとそれらがきっかけとなり答えやすくなります。
例)保育園で遊んだ内容を話して欲しいとき→保育園や遊び場面の写真を見てもらいながら「〜があるね」「〜くんもいるかな?」等話を広げられる話題を聞いてみる方法もおすすめです。
論理的思考
私たちはどうして野菜を冷蔵庫の中に仕舞うのか。その理由を知っています。その理由としては野菜を腐らせないようにするためです。
これは複数の思考を用いてその結論に至っています。
まずは野菜や冷蔵庫の役割を知っていることから始まりこれらの関係性(因果関係)に気付くことが出来るようになります。
これらの因果関係を知るためには、野菜はそのままにするとどうなってしまうのか。食べ物や飲み物を冷蔵庫に入れなかったらどうなるのか等これらを理解しなければなりません。
それらが理解できたら野菜と冷蔵庫に関連する事象を見つけ出すことで、野菜は冷蔵庫の中に入れなければ腐ってしまうことを学習していきます。
これらは就学前である6歳には必要となるスキルです。
このような場面を想像して考えなければこの問いには答えられません。
今回の例えは野菜の話題でしたが、これは子どもたちの環境や興味経験によって左右されます。
そのためまずは子どもたちがたくさん経験している事象から話を広げていきましょう。
聞き方としては「〜すると〜どうなる?」のように質問して聞くことや「~だから~する」の説明を促せるといいです。
ことばかけのポイントの詳細は「言語心理学的手法から考えることばかけのポイント」で解説しています。
受動態の獲得
受動態は「~される」のような意味を示す文法のことです。
受動態の対となることばとして能動態があります。
能動態は「~する」のような意味を示す文法で最も多く使われることばです。
幼児期後半の子どもたちにとって受動態を使った表現が難しく5~6歳にかけて学習が進んでいきます。
例えば、「私が叩いた」と「私が叩かれた」という表現では意味が全く異なります。
集団場面で活動している子どもたちの出来事で「~叩いた」という表現をすることが度々あります。
本来は「叩かれた」という表現が適切だが、表現方法がわからず「叩いた」と能動態で答えてしまい起きた現象を正確に知ることが出来ないこともあり悩まれる方が多いです。
さらに長文を使って話すことが可能になると、「私はA君を撫でる」「A君は私に撫でられた」ではどちらも同じ意味として表現がされています。このように受動態と能動態だけで意味が対となる訳ではありません。受動態、能動態だけでなく助詞部分の違いによっても意味が操作されていきます。このように就学前の子どもたちは助詞なども手掛かりとしてことばを学習していきます。
時間軸を示すことば
時間軸を示すことばは昨日、今日、明日や春夏秋冬といったことば。
主にカレンダーにあることばと理解していれば良いでしょう。
今日という日は比較的イメージしやすいかもしれませんが、昨日や明日等のことばは子どもたちにとってイメージが難しいです。
そのため、1日の出来事を朝・昼・夜に分解し、それぞれの概念を身に付けられることを先に行うことが多いです。
まずは1日の流れについて。それが出来たら昨日や明日という概念について。
就学前には今日が「〇月〇日〇曜日」と理解出来ている必要があります。
ひらがな習得
就学に向けて意識し始めるとなるとひらがなを思い浮かべることが多いですが、ひらがなの習得には順番があります。
それは書くためには読む力が必要ということです。
ひらがな学習で非常に重要となる要素に音韻意識というものがあります。
ことばは1つの音を組み合わせて作られています。
例えばりんごであれば「り・ん・ご」の3つの音から成立しているということです。
4歳以降になるとことばの始めの音(語頭音)が何か。いくつの音で成立するか学び始めます。
その力を身に付けるために音遊びがあり、その代表としてグリコやしりとり遊びがあります。
6歳になるとお友達や家族と音遊びで楽しむことが増えてきます。
このようにひらがなの読み書きが出来る時期が重なるのは音韻意識が大幅に関わってくるからです。
まとめ
幼児後期のことばの発達より高度なものとなっています。
4歳以降のことばの発達は状況説明力や論理的思考が出来るようになる時期です。ことばの使い方を間違えてしまい本来とは異なった意味になってしまったり周囲が勘違いしてしまうこともあると思いますがこのような経験を通してことばは学習していきます。