ひらがな練習の進め方-ステップ別の解説と無料プリント

ひらがな学習は小学校に入学してから本格に始まっていきますが、入学前から保育園や幼稚園でもひらがな学習を進める園も増えてきています。

私たちの周りはひらがなや漢字で溢れており、文字があるということが当たり前の中で生活しています。

小学校へ入学するとひらがな学習が本格的に始まっていきます。自然と覚えているように感じられますが、ひらがなは複数の手順に沿って学習が進められていきます。

今回はそのようなひらがな学習の仕組みや進め方についてお話します。

ひらがなの教え方【重要なポイント】

まず始めにひらがな学習で一番知ってほしいことがあります。

ひらがなは『始めから書かせてはいけない』ということです。

読むことから始めましょう

ひらがな練習としてなぞり書きから始めることも多いですが、それはひらがなを読めるようになったお子さんが行う学習です。(運筆練習は除きます)

私たちが外国語を学習する時はどのように学習しましたか?おそらく単語の読み方(発音)から調べたのではないでしょうか。

逆に考えると花の”バラ”の漢字を考えてみましょう。
バラという漢字は薔薇です。
おそらく読むことは出来るけど書くことは出来ないという人が多いのではないでしょうか。

このように書くことは読むことよりも難しいということです。

ひらがなを読めない状態で始めから書かせて練習することはお子さんへの負担が大きくなります。

そのためひらがな練習を進める時はひらがなをどのくらい読めているか確認しながら進めていきましょう。

ひらがなは何文字ある?

ひらがなは50音表を用いながら学習が進められることが多いですが、50音表に記載されているひらがな数は46文字です。

ひらがなは基本的に母音母音と子音の構造から成り立ちます。

50音表は母音の行(5)と母音を含めた子音の行(10)を掛け合わせた数を当てはめただけで実際に50文字あるわけではありません。

例外として母音を含まない”ん”を便宜上50音表に含めています。

50音表の46文字の他に濁音、半濁音を含めると71文字となります。
※濁音(例:が,だ)、半濁音(例:ぱ)

拗音36文字(ゃ、ゅ、ょ)、促音(っ)1文字、長音(ー)もあります。

長音(ー)に関しては話し言葉として表記されることも増えてきており、ひらがな学習において伸ばす音を長音として練習することも増えています。

ひらがなは何歳に習得する?幼稚園年長児編

太田,宇野,猪俣¹⁾の調査結果によると

平均読字数

清音と撥音:43,4文字
清音と撥音と濁音と半濁音:64.9文字

平均書字数

清音と撥音:30,5文字
清音と撥音と濁音と半濁音:430.文字

調査結果より、平均読字数が平均書字数を上回っており、読む事の方が習得が早いということがわかります。

なお先行研究として島村ら²⁾国立国語研究所³⁾の調査結果も併せて参照してください。

¹⁾太田静佳,宇野彰,猪俣朋恵:幼稚園年長児におけるひらがな読み書きの習得度 音声言語医学59:9-15,2018
²⁾国立国語研究所:幼児の読み書き能力 1972,3,31
³⁾島村直己,三神廣子:幼児のひらがなの習得-国立国語研究所の1967年の調査との比較を通して- Japanese Journal of Educational Psychology,1994,42,70-76

ひらがなを読むステップ

ひらがな学習は読むことが先であることは冒頭でお伝えした通りです。

しかし読むといってもすぐに読めるようになるわけでなく下記のような流れがあります。

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ひらがなを読む流れ

①文字を見る
書かれてある文字を見つけることから始めます。
この段階では”り”という文字を【ɾi】という音声として結びついていません。
”り”と言う文字の形を認識しています。
②文字を音に変換する(デコーディング)
見た文字を始めて音に変換します。”り”という文字を見て【ɾi】という音声と認識します。
他の文字も同様で”ん”,”ご”という文字を見て【N】,【go】と認識します。
そして3つの音を繋ぎ合わせて【ɾiNgo】という音である事に変換していきます。
※文字を音に変換する事をデコーディングと言います。
③読む(声に出す)
文字を音に変換する作業が終わったらそれを声に出して読みます(音読)。
実際に声に出さず黙読として心の中で文字を読むこともこれに当てはまります。

そしてひらがなを読む過程において文字を音に変換して出来上がった単語を意味のあることばと認識する事で学習効率が大幅に上がります。

例えば”りんご”という文字を見たら赤い丸の果物である事をイメージ出来ます。

逆に”てひち”という文字を見たら何をイメージするでしょうか。この文字は私が出鱈目に打ち込んだ文字です。

そのため”てひち”という文字に意味はありません。

しかし、意味ないことばであっても読む事は出来ます

学習というのは、その瞬間覚えているだけでは学習したとは言えません。

1時間後、1日後、1週間後、試験当日のように目標のために覚えていなければなりません(試験当日だけでなく日常への般化が好ましい)。

では、”りんご”・”てひち”という文字3秒間ずつ見た時どちらの方を覚えているでしょうか。

おそらく”りんご”という文字の方が先に思い出すのではないでしょうか。

この理由は文字と音、意味が全て結びついているからです。

音声言語だけでなく文字も何を意味しているのかを知ることにより記憶が定着していきます。

これは生涯を通して重要なことです。

例えば就学後の国語では文章読解が始まります。

文章読解は文章を見て質問に答えるという問題です。

この文章読解は文字で書かれた文章を読み、読んだ文字の意味を理解しなければなりません。

文字学習に苦手意識があるお子さんは、文字を音に変換、変換した音を意味と結び付けるということに苦手さを抱えています。

単語では読めるけれど文章になると読むことが出来ないという場合も多いです。

これは文章になると文字を音に変換するという作業が増えてしまい子どもに負荷が掛かりすぎてしまう事が原因として挙げられます。

ひらがなを読む練習【無料プリント】

ひらがなを読めるようになるためには文字認識(文字を見る)、文字を音に変換読むという流れが必要な事は上記で示した通りです。

文字認識の練習

文字を見るということは文字認識をすること。

文字認識の学習は同じ文字同士を線で結ぶという学習があります。

読めるようになるためには文字を形として認識出来る必要がありますが、始めから丸や四角等の図形と同じ形を見つけるということも文字認識の学習に繋がります。

同じ形を線で結ぼう

同じ形のものを線で結びます。指で丸を指差しながら「これと同じのどれ?」に応えてもらうだけでも本来の目的となります。
形だけでなく色を手掛かりとして適切なものを見つけることも出来るため、色付きから始めることもお勧めです。

ひらがなを探す場合は文字カードを用いて指差しで選択してもらう学習も行うことが可能です。

文字を認識するということは同じものであるという見極めが必要となります。

それはマッチング学習として度々用いられてきます。
マッチングの詳細については「ことばを伸ばす絵カードマッチング」で解説しています。

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文字を音に変換(デコーディング)の練習

音に変換するためには音韻意識の力が大いに関与します。

音韻意識とはことばを音単位で考えることが出来る能力です。

例えば、「りんご」ということばはいくつの音から出来ているか(正解は3つ)。「ご」という音は「りんご」ということばのどこにあるのか(正解は最後)。 
このようなやりとりだけでなくプリント学習として『いくつの音』プリントも用意しました。

いくつの音

いくつの音プリントは音韻意識を身につけるプリントの一つです。
これは絵の名前の文字(音)数だけ色を塗る課題になります。
例)いちご→3つ塗る 靴下→4つ塗る
この学習は色を塗ることが目的ではなく、あくまで音の数を理解できることを狙いとしています。
鉛筆を動かすことが苦手な場合は音の数だけ拍手したり、具体物(おはじき等)を置く事で音韻意識を身につける学習になります。

聞こえた音はどこにある

聞こえた音はどこにある?!では実際に音を指定して、その音がどこにあるのか答えてもらうプリントになります。

より実際に指定した音を考え、その音がどこにあるのか考えていきます。

この音なんの音

聞こえた音はどこにある?!プリントでは大人側が音を発していましたが、この音なんの音プリントでは音を発さず塗りつぶされている箇所を絵を見て想像しながら取り組んでもらいます。

上記のプリントの他、音韻意識を身に付ける遊びとしてしりとり遊びたぬき遊び思い出し遊び等があります。

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しりとり遊びは目標とする音の付くことばを答えなければなりません。

目標とする音も相手の答えたことばの最後の文字を一つの音として認識出来る必要があります。

たぬき遊びは指定された音だけを取り除くという少し高度な遊びになります。

指定された音を覚える、抜いた後のことばを覚えるという複数の処理が必要です。

思い出し遊びは語想起とも呼ばれ、目標音の付くことばを羅列しなければなりません。

いずれの音遊びも語彙力(ことばの数)が必要とされます。

語彙力が少ない場合は絵カードや実物等を用いながら語彙力を増やしましょう。

特に抽象語と呼ばれることばは見たり聞くだけでは理解しにくいです。

そのため具体語の語彙力を増やしたらことばの概念(意味)その物の学習を進めていきましょう。

読む練習

文字数の違いから選ぶ

文字を音に変換(デコーディング)にも関連しますが、ひらがなは1文字=1音対応ということが非常に大切です。
※例外は「は」「へ」2つの音があります。

例えば、”りんご”のひらがなは3文字であり「りんご」という音は3音です。

ひらがな学習において、絵を見て正しい文字を選択する課題や線を結ぶプリントを使用することもありますが、文字を読めなくても文字数の違いを手掛かりとして問題を解くことができます。※そのためには数の概念が必要不可欠です。

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音の数の違いから選択が可能であれば、文字と音のマッチングを進めながら読字数を増やしていきましょう。

どっちのことば?

どっちのことば?プリントは1文字=1音という関係性が学ぶためのプリントとなります。
文字数の違いに注目して解いていきます。これらの違いに気付くことが出来たら、あとは音とひらがな(文字)を結び付けていきましょう。

音と文字のマッチング

文字カード使って、言った文字カードを選んでもらいます。
文字数の違う選択肢から始めると簡単に取り組めます。

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絵と文字のマッチング

文字数の違いに気が付けたり、ひらがなを少しずつ読めるようになってきたら絵とひらがなを結ぶ学習を行ってみてはどうでしょうか。

絵とひらがなを結ぼう

スムーズに読むために

文字を1文字ずつ読めるようになってきたけど、単語や文章を読む際1文字ずつ区切りながら読んでしまうという悩みも耳にします。

1文字ずつ区切って読んでしまうことを逐次読みと言います。

このような場合も文字→音への変換を素早く行うことを苦手とします。これを自動化能力と言います。

自動化能力を身につけるためには図形や絵、文字などがランダムに並んだプリントを素早く読み進める練習もあります。

この他にも文字列の中から単語を見つけ出すという練習を行うことで、文字→音→イメージという繋がりを学ぶことも出来ます。

隠れていることばを見つけよう

ひらがなを書くステップ

ひらがなを読む流れに続いて書く流れは以下の通りとなっています。

画像1

ひらがなを書く流れ

聞く・見る
→「りんご」という言葉を聞いたり文字を見ることから始まります。
音を文字にする
→「りんご」という言葉を音に変換するとともにその言葉(果物のりんご)をイメージします。
形を思い出す
→音に変換した文字(ひらがな)を形として思い出します。
書く
→思い出した文字を書いて文字として表現していきます。


私たちが新たな文字を書くときはまずは見本を見ながら一画ずつ丁寧に書いている場面を想像して下さい。

初見の漢字を一回だけで見ながら書いただけで文字を覚えられる人がどれくらいいるでしょうか。

ほとんどの人が見本を見ないで書けるようになるまで練習をすると思います。

この手本を見ない=形を思い出す

形を思い出すという流れがあるからこそ、私たちは自分の意思で文字を書くことができるのです。

ひらがな練習と言えば、なぞり書きをすることが多いですがそれだけでは不十分です。

なぞり書き→見ながら書く→見ないで書く(形を思い出す)。このように進めなければなりません

以上の流れがひらがなを書くという流れとなります。

ではどのように書く練習をしていけば良いのか書く流れに沿って説明していきます。

ひらがなを書く練習【無料プリント】

上の一連の流れに沿って書く練習することがとても大切です。

音を文字に変換するという部分に注目してみてください。

この変換するという部分はひらがなを読む時に出てきた音を意識することと概ね同じことです。

ひらがなを読むことが出来るようになっていたら音を意識することも出来るようになっています。

逆にこの部分が出来なければ書くことが出来ません。

そのため“ひらがなを書く”という能力として必要な文字を含む様々な形を書くことに焦点を当てます。

形を書く

ひらがなを書くことが難しいお子さんには最初からひらがなを書くのではなく丸や四角を書くような練習が良いかと思います。

形を書こう


形が書けるようになってきたら、同じ位置に書けるか確認してみましょう。
このプリントを行うことによって位置、形態を見極める能力が身につきます。

ますめ図形

ひらがなを書く(1文字)

ひらがなの中にも難易度があり”い””し”のような文字の方が簡単に書けます。

逆に”あ”のように斜め線が多いひらがなは難しいです。

50音表の順番を理解していればリズムとして唱えながら書くという練習も面白いです。

見本となる文字がすぐに左側にあることによって(右利きの場合)見本の文字が隠れることなく見ることが出来ます。

ひらがなを書く 1文字

ひらがなを書く(単語)

単語の名前を書くものです。

始めはなぞり書きから始めていきましょう。

ひらがなを書こう

ひらがな学習のお勧め教材

ひらがな積み木

ひらがなの導入としてお勧めなのはひらがな積み木です。表面には絵柄がありその裏には言葉の始めの文字が書かれています。ドミノのように倒して遊んだり上に高く積んでみたり、積み木で家を作ってみたり。積み木遊びとしても有効的に使う事が出来ます。積み木遊びの中で積み木に絵や文字が書かれていることに気が付くかもしれません。その時は「犬の「い」」のように絵柄を見せた後に裏返して文字を見せてあげましょう。文字チップとしても使う事が出来、文字を並べ替えて単語や自分の名前を作ってくれるかもしれません。

トレーニングワーク

ひらがなの土台となる基礎トレーニングワークです。本記事のひらがなを読むで説明した音を操作する力(音韻意識)に関する学習がたくさん含まれているワークです。ひらがなワークとなると運筆やひらがななぞり書きを中心とした物が多いですが、このワークではその前段階ひらがな学習の土台部分がたくさんああります。

読み書きが苦手な子どもへの“基礎”トレーニングワーク (通常の学級でやさしい学び支援)

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読み書き指導ことはじめ

読み書き指導ことはじめは自宅でも簡単に作れる絵カードやひらがなカードがあり、それらを使って学習を進める方法も書かれています。読み書きに限らず、類似した方法でことばを促す学習として度々使われることが多いです。文字学習は見る力も必要であり、チップを同じ場所に置く学習や線なぞりのように図形を捉えて書く学習方法をわかりやすく書かれています。

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まとめ

ひらがなが書けないお子さんの半数以上が読むことに対して苦手意識があります。
そのため、まずは書くことよりも読む練習から始めてみましょう。
特に音を意識すること
この部分が忘れられがちですが、とても重要なポイントです。
必ずしもプリントが必要な訳ではありません。
プリントが無くても手を叩いて物の名前の数を意識する練習もできます。

ひらがな学習には個人差があるため、まずはお子さんのペースに合わせながら楽しく学習に取り組んでみてください。
文字に興味を示し始める4歳以降のことばの発達は「ことばの発達【4歳・5歳・6歳】」で詳細を説明しています。

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