私たちの周りにはひらがなや漢字が当たり前のように使われています。その中でもひらがなは文字学習の中で早く学習していきます。そこで今回はひらがな学習におけるポイントと無料教材についてご紹介していきます。
※下記に無料教材の紹介していますがコトノハ教材庫にもまとめてあります。
ひらがなの教え方【重要なポイント】
まず始めにひらがな学習で一番知ってほしいことがあります。
ひらがなは『始めから書かせてはいけない』ということです。
読むことから始めましょう
ひらがな練習としてなぞり書きから始めることも多いですが、それはひらがなを読めるようになったお子さんが行う学習です。(運筆練習は除きます)
私たちが外国語を学習する時はどのように学習しましたか?おそらく単語の読み方(発音)から調べたのではないでしょうか。
逆に考えると花の”バラ”の漢字を考えてみましょう。
バラという漢字は薔薇です。
おそらく読むことは出来るけど書くことは出来ないという人が多いのではないでしょうか。
このように書くことは読むことよりも難しいということです。
ひらがなを読めない状態で始めから書かせて練習することはお子さんへの負担が大きくなります。
そのためひらがな練習を進める時はひらがなをどのくらい読めているか確認しながら進めていきましょう。
ひらがなを読むステップ
ひらがな学習は読むことが先であることは冒頭にお伝えした通りですがひらがなを読むステップは以下の通りとなっています。
そしてひらがなを読む過程において文字を音に変換して出来上がった単語を意味のあることばと認識する事で学習効率が大幅に上がります。
例えば”りんご”という文字を見たら赤い丸の果物である事をイメージ出来ます。
逆に”てひち”という文字を見たら何をイメージするでしょうか。この文字は私が出鱈目に打ち込んだ文字です。
そのため”てひち”という文字に意味はありません。
しかし、意味ないことばであっても読む事は出来ます。
学習というのは、その瞬間覚えているだけでは学習したとは言えません。
1時間後、1日後、1週間後、試験当日のように目標のために覚えていなければなりません(試験当日だけでなく日常への般化が好ましい)。
では、”りんご”・”てひち”という文字3秒間ずつ見た時どちらの方を覚えているでしょうか。
おそらく”りんご”という文字の方が先に思い出すのではないでしょうか。
この理由は文字と音、意味が全て結びついているからです。
音声言語だけでなく文字も何を意味しているのかを知ることにより記憶が定着していきます。
これは生涯を通して重要なことです。
例えば就学後の国語では文章読解が始まります。
文章読解は文章を見て質問に答えるという問題です。
この文章読解は文字で書かれた文章を読み、読んだ文字の意味を理解しなければなりません。
文字学習に苦手意識があるお子さんは、文字を音に変換、変換した音を意味と結び付けるということに苦手さを抱えています。
単語では読めるけれど文章になると読むことが出来ないという場合も多いです。
これは文章になると文字を音に変換するという作業が増えてしまい子どもに負荷が掛かりすぎてしまう事が原因として挙げられます。
ひらがなを読む練習【無料プリント】
ひらがなを読めるようになるためには文字認識(文字を見る)、文字を音に変換、読むという流れが必要な事は上記で示した通りです。ここからはそれぞれのステップに合わせた教材についてのお話。
文字認識の学習
文字を見るということは文字認識をすること。
文字認識の学習は同じ文字同士を線で結ぶという学習があります。
読めるようになるためには文字を形として認識出来る必要がありますが、始めから丸や四角等の図形と同じ形を見つけるということも文字認識の学習に繋がります。
ひらがなを探す場合は文字カードを用いて指差しで選択してもらう学習も行うことが可能です。
文字を認識するということは同じものであるという見極めが必要となります。
それはマッチング学習として度々用いられてきます。
マッチングの詳細については「ことばを伸ばす絵カードマッチング」で解説しています。
文字を音に変換(デコーディング)の学習
音に変換するためには音韻意識の力が大いに関与します。
音韻意識とはことばを音単位で考えることが出来る能力です。
例えば、「りんご」ということばはいくつの音から出来ているか(正解は3つ)。「ご」という音は「りんご」ということばのどこにあるのか(正解は最後)。
このようなやりとりだけでなくプリント学習として『いくつの音』プリントも用意しました。
上記のプリントの他、音韻意識を身に付ける遊びとしてしりとり遊びやたぬき遊び、思い出し遊び等があります。
しりとり遊びは目標とする音の付くことばを答えなければなりません。
目標とする音も相手の答えたことばの最後の文字を一つの音として認識出来る必要があります。
たぬき遊びは指定された音だけを取り除くという少し高度な遊びになります。
指定された音を覚える、抜いた後のことばを覚えるという複数の処理が必要です。
思い出し遊びは語想起とも呼ばれ、目標音の付くことばを羅列しなければなりません。
いずれの音遊びも語彙力(ことばの数)が必要とされます。
語彙力が少ない場合は絵カードや実物等を用いながら語彙力を増やしましょう。
特に抽象語と呼ばれることばは見たり聞くだけでは理解しにくいです。
そのため具体語の語彙力を増やしたらことばの概念(意味)その物の学習を進めていきましょう。
文字数の違いから選ぶ
文字を音に変換(デコーディング)にも関連しますが、ひらがなは1文字=1音対応ということが非常に大切です。
※例外は「は」「へ」2つの音があります。
例えば、”りんご”のひらがなは3文字であり「りんご」という音は3音です。
ひらがな学習において、絵を見て正しい文字を選択する課題や線を結ぶプリントを使用することもありますが、文字を読めなくても文字数の違いを手掛かりとして問題を解くことができます。※そのためには数の概念が必要不可欠です。
音の数の違いから選択が可能であれば、文字と音のマッチングを進めながら読字数を増やしていきましょう。
音と文字のマッチング
文字カード使って、言った文字カードを選んでもらいます。
文字数の違う選択肢から始めると簡単に取り組めます。
絵と文字のマッチング
文字数の違いに気が付けたり、ひらがなを少しずつ読めるようになってきたら絵とひらがなを結ぶ学習を行ってみてはどうでしょうか。
スムーズに読むために
文字を1文字ずつ読めるようになってきたけど、単語や文章を読む際1文字ずつ区切りながら読んでしまうという悩みも耳にします。
1文字ずつ区切って読んでしまうことを逐次読みと言います。
このような場合も文字→音への変換を素早く行うことを苦手とします。これを自動化能力と言います。
自動化能力を身につけるためには図形や絵、文字などがランダムに並んだプリントを素早く読み進める練習もあります。
この他にも文字列の中から単語を見つけ出すという練習を行うことで、文字→音→イメージという繋がりを学ぶことも出来ます。
ひらがなを書くステップ
ひらがなを読む流れに続いて書く流れは以下の通りとなっています。
私たちが新たな文字を書くときはまずは見本を見ながら一画ずつ丁寧に書いている場面を想像して下さい。
初見の漢字を一回だけで見ながら書いただけで文字を覚えられる人がどれくらいいるでしょうか。
ほとんどの人が見本を見ないで書けるようになるまで練習をすると思います。
この手本を見ない=形を思い出す。
形を思い出すという流れがあるからこそ、私たちは自分の意思で文字を書くことができるのです。
ひらがな練習と言えば、なぞり書きをすることが多いですがそれだけでは不十分です。
なぞり書き→見ながら書く→見ないで書く(形を思い出す)。このように進めなければなりません
以上の流れがひらがなを書くという流れとなります。
ではどのように書く練習をしていけば良いのか書く流れに沿って説明していきます。
ひらがなを書く練習【無料プリント】
上の一連の流れに沿って書く練習することがとても大切です。
音を文字に変換するという部分に注目してみてください。
この変換するという部分はひらがなを読む時に出てきた音を意識することと概ね同じことです。
ひらがなを読むことが出来るようになっていたら音を意識することも出来るようになっています。
逆にこの部分が出来なければ書くことが出来ません。
そのため“ひらがなを書く”ということに焦点を当てます。
ひらがなを書く(1文字)
ひらがなの中にも難易度があり”い””し”のような文字の方が簡単に書けます。
逆に”あ”のように斜め線が多いひらがなは難しいです。
50音表の順番を理解していればリズムとして唱えながら書くという練習も面白いです。
見本となる文字がすぐに左側にあることによって(右利きの場合)見本の文字が隠れることなく見ることが出来ます。
ひらがなを書く(単語)
単語の名前を書くものです。
始めはなぞり書きから始めていきましょう。
ひらがな学習のお勧め教材
まとめ
ひらがなが書けないお子さんの半数以上が読むことに対して苦手意識があります。
そのため、まずは書くことよりも読む練習から始めてみましょう。
特に音を意識すること。
プリントが無くても手を叩いて物の名前の数を意識する練習もできます。
ひらがな学習には個人差があるため、まずはお子さんのペースに合わせながら楽しく学習に取り組んでみてください。
文字に興味を示し始める4歳以降のことばの発達は「ことばの発達【4歳・5歳・6歳】」で詳細を説明しています。