
ことばを話し始めるのは1歳頃って聞きますよね?
そうですね!
でもやりとりはもっと前から始まっています

ことばは1歳頃から話し始めると言われますが、話し出す前からも指差しをしたりママ・パパに目線を向けたり等コミュニケーションは始まり大人と笑い合ったり物の受け渡し等のやりとりから学習していきます。
このやりとりを通して人とのコミュニケーションは楽しいという気持ちが育まれていきます。
今回そんなことばを獲得し始める前段階からのお話。
4歳から6歳までのことばの発達はこちら
0歳・1歳のことばの発達
ことばはすぐに話し始める訳ではありません。
母親のお腹から生まれてきた子どもたちは、外の世界で多数の刺激を受けて育っていきます。
見たことのないもの、聞いたことのないもの。赤ちゃんはそんな知らないもので溢れています。
そのような世界で生きていくためにはお父さんやお母さんの力が必要不可欠です。
最初はお父さん、お母さんからの誘い掛けがほとんですが、少しずつ子どもからも笑いかけたり泣いたり、自分以外の人に伝える意欲が増えてきます。
喃語の出現
生後3ヶ月を過ぎると「あー」などの音を発することが出来るようになってきます。
これは口をもごもご動かし「どんな音が出るのかな」と遊びのような感覚で音を出しています。
そのような時に大人も赤ちゃんの発する音に応えてあげると赤ちゃんも喜びます。
9ヶ月頃になると基準的喃語(子音+母音)と呼ばれる音ではっきりと言うようになってきます。
それも遊び感覚の音というよりもコミュニケーションをするかのような表現に変わっていきます。
そしてたくさんの音の組み合わせを言うようになります。
徐々にたくさんの音を言えるようになると「まんま、ねんね」などの音を真似して言うようになりそれが始語へと繋がっていくことがあります。
非言語コミュニケーション
ことばと聞くと実際に声に出す音声言語が真っ先に思いつくかと思いますが、コミュニケーションは音声言語だけではありません。
子どもが大人に向ける笑顔や差し出す手などからスキンシップを図っています。
子ども側だけでなく、大人側からの問いかけに対しても目線を向けるなど反応が増えてきます。
9ヶ月頃には大人が指さした方向を見るなど周囲に目を向けることが出来るようになってきます。

始めは子どもともの、子どもと大人等の2者間でコミュニケーションを行っていたもの(二項関係)がものに注意を向けつつ大人に誘い掛けることが出来るようになってきます。(三項関係)
これが段々と子どもはものに注意を向けつつ大人に誘いかけることが出てきます(もしくは大人がものに注意を向けつつ子どもに誘いかける)。
これらの関係が構築できるようなってきると子どもから大人への誘い掛けが増えてことば引き出すきっかけとなっていきます。
0~1歳のことばの発達に大切な4つのポイント
ことばは単純に見たものを音声として発して学習する訳ではありません。
食べ物や動物等そのものを知ることから始まり、それらには名前が付いてることを知るように様々な過程を通してことばを学習していきます。
そのような過程の中で大切な4つのポイントが下記の通りです。
4つのポイント
①因果関係がある
②ものには名前がある
③関係性がある
④聞かれたことに応える
ことばを話すという部分ではなく、ことばそのものを知るという部分に焦点を当てています。
私たちは意識していませんが、テレビをつけるためにリモコンを押したり、ごはんを食べる時には箸やスプーンを使ったり。
このような行動をとるのは私たちがそれらを使用する目的を知っているからです。
ことばを学ぶ子どもたちは、ことばが何を指し示すのか。どのような関連性があるのか等を知る必要があります。
そのためこれらを学ぶための4つのポイントを以下からお話します。
①因果関係がある
因果関係とは2つ以上の出来事に関して原因と結果が生じることを言います。
例えばこんなパターンあります。
おもちゃを叩くと音が出る。パズルを関せさせると絵が出来る。ボタンを押すと光る。
子どもは「おもちゃを叩くことによって音が出る」ということを理解できたら、子供はたくさんおもちゃを叩いて遊びます。
このように〇(おもちゃを叩く)をすることによって△(音が出る)という関係性を理解しないと子供は反応すらしません。
そのため、この時期の子どもには因果関係がはっきりとしたおもちゃで遊んでもらうと良いかもしれません。
感覚で楽しめるおもちゃ
楽器も因果関係のあるものとして有名ですが、その楽器の中でもがらがらおもちゃがお勧めです。
海外ではこれらが度々使われることが多いです。
日本ではキャラクターのおもちゃが多数ありますが、これは音や光などの感覚を中心に楽しめます。
生後6ヵ月になるとものを掴む頻度が高くなるため、その時期のお子さんでも十分に夢中になって遊ぶことが出来ます。
②ものには名前がある
私たちは「みかん」と言われるとすぐに果物のみかんをイメージすることが出来ると思います。
これは物には名前があるということを理解している証です。
実際には物をことば(音=記号)として学習しているということです(象徴機能)。
始めは頭の中でイメージすることで終わってしまったものが、ことばとして表現出来るようになってくるとことばの学びが深まります。
そのためには絵や実物をみせながらことばを伝えるということがとても重要です。
はじめてずかん
1歳前後のお子さんにおすすめしているおもちゃとしてはじめてずかん1000というものがあります。
食べ物、動物、乗り物などのカテゴリーの写真がたくさん載っている本です。
これは見て楽しむだけでなくタッチペンが付いていて、ペンでタッチすることによってその音声が聞こえてきます。
これで遊ぶことによってお子さんから意欲的にことばを学ぶことが出来ます。
ママ・パパと一緒に目や耳から楽しめるおすすめおもちゃです。
③関係性がある
ものには名前があるということは上記の通りですが、それだけでなく関係したことばがあります。
例えば、スプーンと食べ物は食事に関係していることば。コップと歯ブラシは歯磨きに関係したことば等。
これらの関係したことばを日常生活の中で教えることによって学習することばの数が大幅に増えます。
それだけでなく、片方のものがあるだけでその後の行動を予測して理解する能力も身につきます。
例)机にスプーンが用意されていたら食事の時間
これらはマッチングの話の中でも紹介しています。
④聞かれたことに応えること
聞かれたことに答えるというやりとりは無数に行われています。
近所の人に挨拶をしたら相手から挨拶が返ってくる等、ことばのキャッチボールが成立します。
しかし、この時期(前言語期)の子どもは言葉で会話することを目的とはしていません。
大人が見ている物の名前を言ったり、指さし等の誘いかけかけに対して反応を示します。
大人からの誘いかけによりその方向を見る、物を持ってくる、物を指さす等を通して人とのコミュニケーションを学んでいきます。
ことば絵カード100
ことばの教室の先生はことばを言う学習の前にことばの理解の学習を進めることが多いです。実物の方が具体的で子どもにとって理解しやすいですが、実物を数多く揃えることは管理が難しく大変なことです。そのため、絵カードを用いてことばの理解の学習を行うことが多いです。やり方は絵カードを並べて、大人が「~ちょうだい」と言って子どもに選んでもらってカルタのような感覚で楽しんでもらいます。こちらの絵カードは家でも手軽に出来るように『保護者のための手引書』が付属しているためとても分かりやすいです。
ことばを話し始める
上記の4つのポイントを学び進めると少しずつことばを話し始めます。
しかし、はじめからはっきりと話すわけではありません。
「りんご」ということばでも「◯※%」など1文字も合っていないことも多々あります。
しかし、なんとなく「りんご」と言っている気がする。このようなことから始まっていきます。
中には最後の音の「ご」の音のみを発することもあります。しかしそれはことばを学習している証です。
ことばを覚えたての子どもは【りんご】ということばを一塊の音として捉えていたり、部分的に聞き取ることはしっかりとした発音が出来ないために生じることです。
だからといってことばを教える時に「り」「ん」「ご」と1文字ずつ区切って教える必要はありません。
もしそして子どもが「◯※%」や「ご」のように全ての音を言えなくても、言えたことに対して「りんご(だね)」と正しいことばを自然な流れでお手本として示すことでことばの発達を促せます。
2歳・3歳のことばの発達に大切なポイント
2~3歳の子どもは言葉をつなぎ合わせる文を使って会話をすることが多いかと思います。(この時期は幼児前期とも言います)
この時期(幼児前期)の子どもは文での会話が出来始める時期ですが、ことばの種類が限られていることやイマイチ話している内容がわかり辛いといった悩みが多く聞かれます。
そんな2〜3歳の子どものことばに対してポイントを紹介します。
2〜3歳のことばのポイント
①ことばの数を増やす
②話の内容を広げる
③文を組み立てる
ことばの数を増やす
ことばの発達にとても大切なこと。
それはことばの数を増やすことです
子どもの周りにある物から中心に教えてあげてください。
特に大きい・小さいなどの形容詞と言われることば。
そして色の名前(色名)、動作を示すことば(動詞)を教えてあげることで文レベルでの会話が上達しやすくなります。
ことばを教えていると「食べ物の名前だらけ」など偏りが出てしまいがちです。
ですが始めは子どもの興味のあるものからで大丈夫です。
一緒に生活をする上で身の回りのものを言語化して教えてあげることでたくさんのことばを覚えていきます。
話の内容を広げる
言葉の数を増やしている練習の時に、絵カードを見てその名前を言ったとします。
その場合、名前だけでなくその形や使い道を一緒に伝えてあげると良いです。
例えば
絵カードを見て「みかん」と言ったとします。
その場合「みかんだね」と反応してあげることも大切です。
そこでもっと良い反応を示してみましょう。
子ども:「みかん」
大人 :「大きいみかんだね」「美味しそうなみかんだね」
このように“みかん”ということばに対して“どのようなみかんか”付け加えてあげると文の使い方を覚えやすくなります。
文を組み立てる
ことばの数が増えてきたら「が」「と」のような助詞の存在を教えてあげましょう。
助詞は文字数こそ少ないですが、文全体の意味が変わってしまうほど重要な存在です。
例)魚を食べる⇔魚が食べる
このように助詞が異なるだけで意味が変わります。
助詞を使い始めるようになると「みかんとおいしい」のように間違った使い方をしますが、それも助詞の存在に気付き始めたからです。
その場合は何度も正しい助詞を言えるように繰り返すというより、適切な助詞を使った文を伝えていきましょう。

まとめ
2〜3歳の子どもの支援をしていると、お話は出来ているように見えるけれど理解力が話す能力に比べて低いことがあります。
特に赤・青・黄の色の理解はありますが、他の色や青を「緑」と言ってしまうことも目立ちやすいです。
そのためことばの数を増やしていく段階で形容詞や助詞、色名を教えてあげることでこれらのことばの発達が深まります。
話の内容を広げた後に子どもに真似して言ってごらんなど、もう一度言ってもらうことで正しい話を身に付けることが出来ることが出来るため、ご家庭でもぜひ意識してみてください。