こんにちはコトノハ教室です。
私たちは普段から会話をしたり好きなものを食べたりして、口を使った運動を数えきれないほど行っています。それは口だけに限らず全身に対しても同様です。
数えきれない運動をしているといっても、口の形はなんら問題がないにも関わらず口の動かし方が苦手であることから話すことや食べることにも支障を来してしまう人もいます。
今回はそのような口の運動に苦手意識がある子どもたちについてお話します。
口の運動を苦手としている人
口の運動を苦手としている人の中に口腔機能発達不全症と呼ばれる人もいます。
口腔機能発達不全症の病態として
「食べる機能」、「話す機能」、「その他の機能」が十分に発達していないか、正常に機能獲得ができておらず、明らかな接触機能障害の原因疾患がなく、口腔機能の定型発達において個人因子あるいは環境因子に専門的関与が必要な状態。
令和2年3月日本歯科医学会 『口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方』の中にこのように記載されています。
食べる機能→飲み込みにくい、噛むことが苦手
話す機能→上手に発音ができない。“もごもご”したような息の籠った話し方になってしまう
その他の機能→唇が常に開きっぱなしになってしまう。過敏(または鈍麻)がある。上手に食べられずに低体重になっている。
これらのようなことが当てはまるのではないでしょうか。
口腔内の機能を高める練習
口唇閉鎖(唇を閉じる)の練習
・リップルトレーナー
唇と前歯の間に置いて、これを挟むように唇を閉じます。
その状態で大人側が引っ張って唇から外れないように力を加えてもらいます。
これより口唇閉鎖に必要となる筋力(表情筋)を鍛えることが出来ます。
それだけでなく、鼻呼吸の促進にもつながっていきます。
舌の運動の練習
・スポットへ位置付け
スポットというのは前歯の後ろ側の部分を指します。
私たちが口を閉じている時(安静時)の舌の位置はこのスポットに舌先をつけています。
唇が開いている状態や舌に力が入ってしまっている等の場合はスポットに舌をつけることが出来ていないことが多いです。
まずは位置付けできる意識づけのために、スポットをアイス棒等で示したり、チョコやジャムなどをスポット部分に塗ってそれを舐めてもらうことによって舌で触る部分を示す方法もあります。
・フルフルスポット
→大人が「フルフル」と言っている間は舌を左右の口角に動かしもらう。
大人が「スポット」と言ったら、スポットに舌をつけてもらいます。
・ポッピング(タングアップ)
→舌先をスポットの位置についた状態まで舌全体が吸いついた状態(タングアップ)で舌を弾くこと。
舌全体が吸い付いた状態(タングアップ)を作ることに苦戦することがあります。
その場合は、舌の裏側には舌小帯というものが付いてるので、この舌小帯を伸ばすように舌を吸いつかせることを意識してもらうと良いです。
・オープンクローズ
→舌をスポットの位置に吸いついた状態(タングアップ)で口を開ける・歯を噛む(唇を開けたまま)の動きを繰り返していく。
・あいうべ体操
→声に出しながら「あー(口を開ける)」「いー(口を横に引く)「うー(口をすぼめる)」「ベー(舌を前に出す)」。これら連続的に行うことによって舌の動きだけでなく唇を動かす作用もありおすすめで取り組みやすい練習かと思います。
これらの動きを練習することによって口の運動の改善を図ることが期待されます。
まとめ
口腔機能発達不全症というもの2018年に保険適応(保険収載)されるようになりました。
発音練習を目的としてことばの先生の所へ通われる子どもたちが増えています。そのような中で「どうして発音が出来ないのか」に焦点を当てると全般的な口の運動が苦手な子どもが多いと感じることが多いです。
そのため一つの発音に対する練習をするというより、全体的な口の運動を促す練習をすることも多いです。
今回は子どもを対象としてお話をしましたが、子どもだけでなく大人の口の運動にもこれらを活用することが出来ます。
小顔効果としても美容的な要素も期待出来るかもしれません。
口腔機能発達不全症ということばに煩わされずに、口の体操という感覚でここで挙げた練習をみなさんも取り組んでみてはどうでしょうか。
小児の口腔機能発達評価マニュアル[日本歯科医学会]
https://www.jads.jp/date/20180301manual.pdf