読み書きに困難をきたす発達障害として学習障害(=限局性学習症)があります。
学習障害はディスレクシア(読み困難)、ディスグラフィア(書き困難)、ディスカリキュア(算数困難)など更に分類されることもあります。
学習障害でなくても読み書きの獲得段階は同じであり、学習障害の研究を参考しながら読み書きの学習を進めることが多いです。
そのような読み書きについてですが、知能検査と混同されることが多いですが実際には知能検査と読み書き検査は別です。
読み書き検査はあまり聞き馴染みがなかったり、検査そのものを知らない指導者も多いです。そのため今回は羅列した形式ですが、読み書き検査とそれに関連するアセスメントについてご紹介します。
知能検査
WISC-Ⅴ
新版K式発達検査2020
田中ビネー知能検査Ⅴ
KABC-Ⅱ
検査と聞いて始めに思い浮かべるのが知能検査(もしくは発達検査)ではないでしょうか。読み書き能力だけでやく全般的な認知能力について調べることができます。
読み書き検査
STRAW-R
URAWSSⅡ
特異的発達障害診断・治療のための実践ガイドライン
読み書きについてより特化して調べるものがこちら。知能検査と併せて使用されることが多いです。STRAW-Rでは自動化能力を測るRAN課題が含まれています。
語彙検査
絵画語い発達検査(PVT-R)
標準抽象語理解力検査(SCTAW)
ことばの数をどれだけ知っているのか語彙検査で測ります。語彙数が少なければ、読んでも意味が通じなく学習に結びつかないので語彙数の確認も重要です。
音韻検査
ELC
LC-R(音韻課題)
話し言葉や文字は音の集まりで成立しています。いくつの音でできているか、どこに何の音があるのか。音そのものに意識を向けることが出来ているか把握していきます。しりとりやグリコなどは音(音韻)を用いた音遊びです。
視知覚検査
WAVES
レイ複雑図形検査(ROCFT)
対象のものを見ることができているか、見たものを上手に操作できているか。これらを中心に測っています。文字が歪む、動いているなど言われることもありますが、その場合は学習障害でなくアーレンシンドロームの可能性も考えられます。
聴覚記名力検査
聴覚言語性学習検査(AVLT)
聞いたことばをどれくらい覚えていられるかどうか。聞き取り問題だけでなく、音としてどれだけ記憶できているか見極めることによって学習方法を見つけることが出来ます。
指導の手立てとしてレイ複雑図形検査と聴覚言語性学習検査を実施し視覚・聴覚のどちらの方略を用いて指導を進めるか検討することもあります。
読み書きに関係する検査はこれら以外にも多くあり単一の検査だけでなく複数組み合わせて実施することでより実態が明確となります。全般性知的能力が低いことによって読み書きの習得が遅れることや、標準以上でも読み書きの習得に困難を呈することもあります。そのため知能検査だけなく読み書き検査などで実態を知る必要があります。