吃音はスムーズに出て来ず、言葉が詰まるなどの3つの症状があります。
①連発(お、お、おはよう)②伸発(おーーはよう)③難発(……おはよう)があり①から③になるにつれ話しにくさを強く感じていきます。
昨今では吃音アプローチが多数存在していますが、その中に吃音アプローチの中にDCMという考えがあります。
DCMは(Demands and Capacities Model)要求-能力モデルとも言われており、「吃音は要求と能力とのバランスが崩れた時に生じる」と考えられるモデルです。
まずは始めに環境調整から始め吃音症状の軽減しない場合は流暢性形成法もしくは吃音緩和法も実施していきます。(今回は環境調整に含まれるスペシャルタイムについてお話します。)
スペシャルタイムってなに?
DCMのスペシャルタイムは子どもの話し方を指摘するのではなく、大人側が関わり方を調整し子どもの吃音症状の軽減を目指すものです。
実施頻度は家庭で一日15分を4日〜/週行われることが勧められています。
スペシャルタイム中の実施内容については大人側が関わり方を意識して子どもと一緒に過ごしてもらいます。
フリートークで日常的な会話をすることや図鑑やパズルなどを用いながら関わることも可能です。
※スペシャルタイム中は子どもの発話自体には指摘しません。
4つの側面
大人側の働きかけとしてスペシャルタイムでは4つの側面に着目して関わります。それは①発話運動面 ②言語面 ③社会-情緒面 ④認知面 となります。
これは全て大人側が意識することです。
①発話運動面
話す速さを落としていきます(=ゆっくり話す)。
どれくらいゆっくり話すのかというと、2〜3文字/秒という速度です。ゆっくり話すとことは意外と難しく、始めはゆっくり話せるけど、少しずついつもと変わらない速さになってしまうことが多いです。そのため大人側自身の意識付けが非常に重要です。
②言語面
子どもと同じレベルのことばを使っていきましょう。文章は長くなることや、馴染みのないことばを多用することは子どもにとって理解が難しく混乱を招いてしまうこともあります。
③社会-情緒面
普段とは違った行動や態度を示すことは心理面に大きな負荷を与えてしまいます。否定や命令口調は子どもの心理面にも影響をもたらします。楽しませる目的で明るい口調で伝えすぎると興奮状態にも繋がることが多いです。
④認知面
「何して遊んだの?」と質問するより「滑り台と砂場どっちで遊んだの?」と選択肢のある質問の方が答えやすいです。遊ぶものの工夫としてレベルの高すぎない図鑑やパズル等を一緒に楽しむことがおすすめです。ゲーム性のあるものはかちまけの勝敗がつくだけでなく、ゲーム途中で興奮しやすくなり情緒面にも影響が出ることがあります。
これら4つの側面を調整しながら子どもと関わっていきます。どのような関わり方をしたのか、症状の頻度などをメモ帳に記載しておくことで症状の波も捉えやすくなります。
さらに家庭でスペシャルタイムを実施する際はビデオ撮影をして、子どもとの関わりについてことばの先生に確認してもらうことも必要なことです。
このような流れでスペシャルタイムを行なっていきます。実践してみると難しくある程度の慣れが必要となりますが、継続することで症状の把握や大人側が正しい関わりを習得できるので無理のない範囲でスペシャルタイムを取り組んでください。