こんにちはコトノハ教室です。
【ことばの悩み】の一つとして「読み書きができない」という悩みがあります。
文字は学校はもちろんのこと、仕事のメールやプライベートの知人とのLINEなど私たちにとって身近に存在しています。
このように文字を読む・書くということは毎日のように行われていると思います。
しかし、子どもたちの中には文字を読むことだったり、書くことができない子どもたちがいます。そもそも文字の学習はどのように進んでいくのでしょうか。
今回はそんな文字学習について。特に学習障害の考えをもとにお話しをしていきます。
学習障害ってなに?
ハリウッドスターであるトムクルーズも学習障害と言われていますが、そもそも学習障害とはいったいどのようなものなのでしょうか。
学習障害は教育界と医学界で定義が異なってきます。
教育界(文部科学省)での定義
学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得としように著しい困難を示す様々な状態を指すものである。
医学界での定義(米精神医学会DSM-5)※限局性学習障害
A学習や学業的技能の使用に困難があり、その困難を対象とした介入が提供されているにもかかわらず、以下の症状の少なくとも1つが存在し、少なくとも6ヶ月間持続していることで明らかになる
(1)不明確または速度が遅く、努力を要する読字
(2)読んでいるものの意味を理解することの困難さ
(3)綴字の困難さ
(4)書字表出の困難さ
(5)数の概念、数値、または計算を習得することの困難さ
(6)数学的推論の困難さ
教育界と医学界での違いとしては
聞く・話すという言葉のコミュニケーション面が入っているかどうか。
文部科学省の定義には聞く・話すという文言が入っているが、医学会の定義には入っていません(聞く・話すは特異的言語発達障害で扱われます)。
結論として双方とも
読む・書く・計算または推論する能力に困難を生じているものを学習障害としています。(知的障害ではない)
日本で使われる文字について
日本で使われている文字といえば、ひらがなが真っ先に思いつくかもしれません。ひらがなの他に、片仮名、漢字など。(ひらがなを中心にお話しをしていきます)
ひらがなは
清音(50音表の「ん」以外)
撥音(ん)
濁音(ば)
半濁音(ぱ)
の計71文字 と
促音(っ)と拗音(きゃ、きゅ、きょ のように小さい文字を含む))が存在しています。
ひらがなの習得は以下のようになっています。
5歳くらいには読み書きができるようになってきているので、実際の文字の学習は5歳よりも前から始まっていることがわかります。
ひらがなは実際に話していること(音)を文字に書き示すことができ、とても便利なツールとなっています。
そして最も重要なことは
基本的に1文字1音対応ということ
(例外:“は”→ha,wa “へ”→e,he)
あまり大体的に言われていませんが、
この1文字1音対応ということを理解するには数の概念を身につける必要があります。
このように日本語の文字。特にひらがなはこのような特徴があります。
学習障害って具体的にどのような症状?
では学習障害とは具体的にどのような症状が見られるのでしょうか。
学習障害は3つに分類されることがあります
・読み書き障害(ディスレクシア)
・書字障害(ディスグラフィア)
・算数障害(ディスカリキュア)
この3つの分類は全て知的障害はないということが前提となります。
読み書き障害(ディスレクシア)
読字障害とも言われますが、読み書き障害と言われることが多いです。
それはなぜかというと…
読めなければ書けないから
文字は一般的に読めなければ書けません。
年長〜小学1年生の文字が書けない子どもに対して、最初から何回も書いてもらう練習をする支援者がいますが、それは大きな間違いです。
書けなければ文字そのものを読めない可能性があります。そのため文字を書く練習をするときはその文字を読めるのか確認する必要があります。
・ディスレクシアは文字そのものを読むことが難しい
・文字一つ一つを区切って読んでしまい単語として捉えることが難しい(りんご→“り””ん””ご”と区切って読むことを逐次読みといいます)
書字障害(ディスグラフィア)
読めるけど書くけないという症状がこれに当てはまります。
書くという行動は頭の中で書くことをイメージすることや鉛筆などを動かす能力など様々です。
書くことは可能だけど、文字を書くことに時間がかかってしまう
黒板の書き間違えが多い
似た文字に書き間違えてしまう(め→ぬ など)
ひらがなは書けるけど漢字は書けない
算数障害(ディスカリキュア)
読み書きはできるけど、算数のように数を扱う学習や文章題、推論が必要な学習に躓いてしまいます。
数の考え方については下記の記事をご覧ください。
数の基礎的な考え方の段階で躓くことが多いので、まずはステップダウンでどこの段階が苦手なのか見直すことが必要となります。
まとめ
文字の学習において反復して熟達していくことが必要に重要となります。しかし学習障害は本人の努力が怠っているという訳ではありません。
家族のみでなく支援者の多くがこの学習障害という認識が低く、努力していないからということばで片付けてしまうことが多々見受けられます。
その結果、たくさん書いてもらい学習させてしまうことがほとんど。
読めなければ書けないということを始め、このような子どもたちも存在しているということを理解しなければなりません。
そのためには子どもたちに学習を押し付けるのでなく、家族・支援者など周囲の人間が文字習得の仕組みの理解を深めることが大切です。
まずは周囲のひとの理解から。そして子どもにとって学習のしやすい環境を整えていきましょう。