成人・小児問わず、言語聴覚士として働き始めた時は先輩職員から業務諸々教えてもらったり、書籍を読んで知識を蓄えたり。自己研鑽を積む日々を送るかと思います。
私も書籍を読み漁ってそれを基に臨床を進めたり。
書籍でインプットをして臨床でアウトプットをして自分の知識にしていくイメージでしょうか。
言語聴覚士になってから数多くの関連書籍を購読してきましたが、今回はそれの書籍の中で小児言語聴覚士として持っていて損はないと感じられるものを紹介します。
小児言語聴覚士が抱える悩みについて『児童発達支援で働く言語聴覚士の悩みごと』でお話しています。
発達全般に関する書籍
小児言語聴覚士と言っても構音等の言語聴覚士に関連する書籍以外にも発達支援全般に関する書籍も重要な知識の宝庫となっています。
そのため、まずはこれらの書籍から始めていきます。
発達障害の子の療育が全部わかる本
療育と言われる発達支援事業が増えてきています。「療育」と一言で言っても実際の支援内容は事業所によって大幅に異なってきます。この書籍は業界界隈の制度やアプローチなどを広く取り扱っているため、業界の全体像を掴む書籍としてはとても頼りになります。
療育についての詳細は『療育とは?個別と集団の違いは?』で解説しています。
自閉症児のためのTEACCHハンドブック 改訂版 自閉症療育ハンドブック
自閉症児のためのTEACCHハンドブック 改訂新版 自閉症療育ハンドブック (ヒューマンケアブックス)
発達支援は環境設定が重要と度々謳われています。この環境設定と言えばTEACCHを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
この書籍は実際の事例も多く取り扱っていてTEACCHの概要を把握することが出来ます。様々なアプローチが溢れている現代ですが、参考の可否に関わらず知っておくべき知識が満載です。
行動分析学入門
私が最も参考としている学問である応用行動分析(以下ABA)。ABA自体は発達支援のみでなく社会全体的に幅広く活用されています。そのため、ABA関連書籍は多数出版されているのではないでしょうか。初学者にとってはこの書籍は難しく感じるかもしれいないですが、具体的事例に沿って話が進められているためABAを追及して学習したい人向けかもしれません。
ABAについての詳細は『応用行動分析(ABA)とは』で解説しています。
発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ
保護者にお勧めしている書籍がこちら。内容はABAの考えに沿って進んでいきます。この書籍は家庭でも簡単に出来る声掛けの工夫や良い例、悪い例をイラストで図示しながらすらすらと読むことが出来ます。ABAという学問として取っつきにくいと感じる人でも簡単に読み進めることが出来ます。
発達障害支援につなげる包括的アセスメント
フォーマルアセスメントやインフォーマルアセスメントを分けて詳細に解説されています。
アセスメントの方法やそれぞれを活かした支援内容について事例を交えて紹介されています。2つのアセスメントの役割をしっかりと把握したい人にお勧めの書籍です。
言語発達に関する書籍
言語聴覚士のための言語発達障害額第2版
こちらは養成校の教科書としても使用されたもの。
養成校で使用していたものは初版の書籍であったため第2版出版の際に購入しました。
子どもの発達段階から個々の症状に合わせた特徴や支援方法が満遍なく網羅している書籍です。
言語発達遅滞の言語治療
言語聴覚士が行う言語発達検査の中にSS法というものがありますが、
こちらの書籍はSS法の検査・訓練を元に話が進められています。
小児の世界に飛び込んだ際に購読していましたが当初は私も知識経験不足で内容が難しく感じましたが、ある程度臨床経験を積んだ際に読み返すと「なるほど!!」とたくさんの学びを気づかせてくれた本です。
SS法といえばマニュアルの熟読を薦められることもありますが、SS法に関連した書籍として一番最初におすすめしたいものになります。
言語・コミュニケーション発達の理解と支援:LCスケールを活用したアプローチ
私が言語検査として度々使用していた検査がLCスケールです。LCスケールは比較的安価に購入することが出来るだけでなく、ことばの発達段階が明確でとてもわかりやすく重宝していました。このLCスケールを基に支援を組み立てることに特化した書籍です。LCスケールを実施したことが無い人でも具体例が多く記載されているので読みやすいかもしれません。
アセスメントにもとづく学齢期の言語発達支援:LCSAを活用した指導の展開
LCスケールの学齢版のLCSAも使用することもありアセスメントの書籍には助けられました。私個人としてはLCSA単体のみで評価することは少なく他の読み書きアセスメントや行動アセスメントも同時に行いながら支援方略を組み立てることが多かったですが、学齢期における文章や文法等の組み立てや評価基準等が理解しやすかったです。
学校でできる言語・コミュニケーション発達支援入門:事例から学ぶことばを引き出すコツ
学校でできる 言語・コミュニケーション発達支援入門: 事例から学ぶ ことばを引き出すコツ
支援の進め方について事細かく紹介してあります。
ことば、発音、読み書きなどの獲得についての基本的な知識やそれらを促す方法について書かれています。
わかりやすい側音化構音と口蓋化構音の評価と指導法:舌運動訓練活用法
構音訓練で大活躍な書籍です。側音化構音や口蓋化構音とありますが、発音の獲得が難しいといわれるさ行などの構音訓練にも同様のことが言える内容です。実際の写真もありどのように舌の運動を進めていけば良いのかとても参考になる書籍です。
舌の運動の詳細は『言語聴覚士が伝える舌の運動をする目的』で解説しています。
まとめ
本記事で紹介した書籍は購読書の中でもほんの一部分です。文字やイラスト数の有無によって読みやすさは個々によって異なりますが、ここで紹介した書籍いずれも支援の手立てと後押ししてくれるため参考にしてみてください。
私は数多くの書籍を購読してきましたが、数多く購読すれば良いという訳ではありません。書籍を読み終わった後は「読んだつもり」になり自己満足で終わってしまいます。購読した書籍を自分の知識として発達支援に活かせなければ本来の目的とはかけ離れてしまいます。
そのためまずは少数冊の書籍を読み潰すことや実際の臨床と照らし合わせながら書籍を活用することで質の良い自己研鑽を積めるのではないでしょうか。