小児言語聴覚士として働くには?

こんにちはコトノハ教室です。
私は小児(子どもと関わる)の言語聴覚士として発達支援に関する仕事をしていますが、SNSやHP経由等で「どうしたら小児言語聴覚士として働けますか?」という質問を受けることがあります。

小児の言語聴覚士は狭き門と言われることが多いようで「小児としての就職先がありません」とちらほらと聞こえてきます。

特に言語聴覚士を目指している学生さんからも相談を受けることがあります。

そのため今回は小児の言語聴覚士を目指す学生さん向けのお話になるかもしれません。それ以外の人でも「言語聴覚士の仕事ってそういうことなんだ〜」と楽しんで頂けたらと思います。

小児で働く言語聴覚士はどれくらいいるの?

言語聴覚士の有資格者数は2022年3月時点で約3万8千人(日本言語聴覚士協会より)とされております。

その内の半数以上の言語聴覚士が病院等で大人(以下、成人)の患者さん(もしくは利用者さん)のリハビリ職員として働いているとされています。

一方小児の領域で勤務している言語聴覚士は成人領域で働いている言語聴覚士よりも圧倒的に少ないのが現実です。

私の知り合いの(仕事以外の)言語聴覚士もほとんどが成人領域で勤務しており、小児で勤務している人は片手で数えられるくらいです(実際には仕事の繋がりで小児の言語聴覚士と話すことはたくさんあります)。

どのような小児の勤務先がある?

医療機関
病院、歯科医院
福祉施設
児童発達支援センター、児童発達支援事業所、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援事業所
それ以外
学校、市町村

大まかに医療機関福祉施設に分かれるかと思います。

これら以外に学校のような教育機関や市町村のような行政機関でも活躍している言語聴覚士がいます。

知育塾学習塾のような場所を立ち上げている人もいます。細々ですが、私もこれらに類することを行っています。

医療機関で働く言語聴覚士

言語聴覚士の就職先として真っ先に思いつく場所は医療機関かと思います。

養成校での講義でも失語症や嚥下障害等の科目は医療機関で使われることを前提として講義が進められているのではないでしょうか。

医療機関である病院は成人領域だけでなく、小児領域でも言語聴覚士として勤務することが出来ます。

小児言語聴覚士として勤務している病院は複数の診療科のある比較的大きな場所が多いのではないでしょうか。小児だけでなく成人領域と併用しながら勤務する場合もあります。

病院だけでなく、歯科医院で言語聴覚士の求人も少しずつですが増えてきている印象にあります。

「歯科医院で言語聴覚士?それに小児?」と思うかもしれませんが、口腔内というの構音動作に関わってきます。そのため、発音指導や口腔機能発達不全症のような口を動かすことが苦手子どもたちの指導を実施している歯科医院もあります。

歯科医院も病院と同様に成人と小児を併用しながら勤務する場合もあります。

福祉施設で働く言語聴覚士

いわゆる療育と言われる勤務先。

令和3年度の法改正にて新たに専門的支援加算が創設されました。

これは専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等)を配置することによってこれらの職種の人たちを採用する動きが増えてきています。

つまり言語聴覚士にとって活躍できる場所や雇用が拡大しているということです。

しかし、各事業所によって特色が異なります。

個別療育なのか小集団なのか。それとも集団なのか。運動療法中心、音楽療法中心、言語療法中心等様々な指導場面があります。そのため、どの事業所ならば活躍が出来るのか吟味する必要があります。

それ以外の勤務先

医療機関や福祉施設以外の勤務先として学校や市町村といった勤務先も存在します。

これらの勤務先は必ずしも言語聴覚士が存在する訳ではありません。

ここでの学校は小学校を挙げますが、通級指導教室やことばの教室と呼ばれている場所において言語聴覚士が活躍している場所もあります。

市町村というのは、主に子育て支援に関わる仕事に携わります。子育ての悩みの相談を受けたり、子どもの様子を見に保育園・幼稚園へ行ったりすることもあります。

これらは直接的な雇用だけでなく業務委託という形での働き方も考えることが出来ます。

どこの就職先を選ぶ?

小児の求人があれば是非一度見学へ行ってみてはどうでしょうか?

私の養成校時代に興味のあった小児施設がありましたが、残念ながら私の就職活動の時は言語聴覚士を募集していませんでした。どうしても行
きたくて電話問い合わせをしたくらいでした。それくらい小児領域に行きたい気持ちが強かったのだなと振り返ってみて思いました。

小児領域の言語聴覚士として働きたい人にとって、医療機関を第一希望として探す人が多いのかなという印象です。これは成人領域でも該当するかなと。

医療機関では検査道具や教材が揃っていたり、教育体制が整っていたり。

療育のような福祉施設も昨今増え続けているので、医療機関に拘らないのであればそちらも面白いかもしれません(私も福祉施設へ行きました)。

ただ医療機関や福祉施設ともに言えることが、環境や教育体制が整っていたりその逆だったり。

自分自身がどのような心構えで働いてくのか。人それぞれ働く理由は異なります。そのため、まずは周囲の人間のことばだけでなく自分の目で確認して納得のいく場所を見つけてください。

まとめ

小児の言語聴覚士として働くということは自分自身の意識次第というのもあります。

養成校の先生や先輩方「「最初は病院。小児は経験積んでから」のように何度も言われてきました。

例えば「3年病院で働いたら小児へ行く」と決めてた人もいました。

しかし、私の場合は待ちきれずに言語聴覚士の免許を取得した1年目から小児領域に飛び込みました。初めての小児領域で働いた場所は児童発達支援事業でそこには先輩STの存在しない事業所でした。教えてくれる先輩がいないというのは不安な気持ちが強かったですが、そこから自分で自己研鑽をして自分の中で成長出来たと実感出来ました。あの時小児の領域に飛び込んで本当に良かったと思っています。

結局は自分がやるかやらないか。

すぐに小児領域へ行きたいと思っているのであれば、1年目からでも小児の世界に飛び込むことは出来るかと思います。

少しずつ民間事業者でも小児領域への参入が増えてきていますが、それでもまだまだ言語聴覚士の数が足りていないと言われています。

そんな小児領域の世界だからこそ、小児を目指す人がいたら一緒に小児領域を盛り上げていきましょう。

もし小児の言語聴覚士に興味をもって悩んでいる学生さんがいたらご相談なるので気軽にご連絡ください。

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